欧州で米国旅行離れ、反トランプ感情が影響 カナダの人気上昇
[ロンドン/ニューヨーク 24日 ロイター] - 欧州大陸の旅行代理店5社によると、欧州全体で米国への旅行計画を見直す顧客が増えている。背景にはトランプ米大統領やバンス副大統領の欧州に対する厳しい姿勢があるとみられる。
トランプ氏は就任から2カ月で米国と欧州の長年にわたる同盟関係を弱体化させ、デンマークの自治領であるグリーンランドの買収を提案し、世界的な貿易戦争を開始した。
デンマーク出身のケネット・ブラスクさんは2年前のフロリダへの釣り旅行を楽しみ、今年再訪する予定だった。しかし、ホワイトハウスでトランプ氏とウクライナのゼレンスキー大統領が口論になった会談の様子を見て中止を決めたという。
ブラスクさんは「あの会談を見て、トランプ氏が大統領である限り米国に行かないと決めた。トランプ氏の態度はあまりにも失礼だった」と語った。代わりにメキシコを訪れる予定という。
米商務省旅行・観光局(NTTO)が発表した2月の西欧から米国への渡航者数(速報値)は、前年同月比1%減少した。昨年2月は14%増だったがマイナスに転じた。デンマークから米国への渡航者数は6%減少した。昨年2月は7%増だった。
欧州連合(EU)の統計によると、欧州の旅行者は2023年に米国への旅行に1550億ドルを支出した。
欧州の旅行代理店や旅行データ会社によると、米国への旅行に関する検索数は減少しており、他の地域への広告に重点を置いているという。
ドル高や欧州経済の低迷も米国旅行を控える要因となっている可能性があるが、旅行代理店は政治的混乱が最も大きな影響を与えていると指摘している。
観光データを提供するデータ・アピール・カンパニーのミルコ・ラリ最高経営責任者(CEO)は、フランス、イタリア、スペインで米国行きの航空券のネット検索数が今月急減したと明らかにした。ただ、英国からの需要は依然として堅調だという。
アルバトロス・トラベル(コペンハーゲン)のシニア・プロダクト・マネジャー、スティーン・アルブレヒトセン氏は「顧客の反応の鈍さと現在の状況、特にデンマークとグリーンランドに対する(米国の)姿勢を踏まえ、米国へのツアーの販売促進には1セントも使わないことに決めた」と語った。
<カナダへの関心>
ドイツの旅行代理店アメリカ・アンリミテッドのティモ・コーレンバーグCEOは、米国ではなくカナダに目を向ける顧客が増えていると話す。同氏は「前例のないカナダブームが起きている」と語った。
一方、データ分析会社キー・データによると、カナダからの欧州の貸別荘など短期宿泊施設の6─8月の予約は前年比32%増加した。カナダ人が米国への渡航を避けている可能性がある。
TUIの広報担当者は「米国で休暇を過ごすドイツ人旅行者は24年から増加すると見込んでいる」と述べた。
NTTOによると、2月のドイツから米国への渡航者は前年同期比9%減少した。昨年2月は18%増だった。
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Joanna reports on airlines and travel in Europe, including tourism trends, sustainability and policy. She was previously based in Warsaw, where she covered politics and general news. She wrote stories on everything from Chinese spies to migrants stranded in forests along the Belarusian border. In 2022, she spent six weeks covering the war in Ukraine, with a focus on the evacuation of children, war reparations and evidence that Russian commanders knew of sexual violence by their troops. Joanna graduated from the Columbia Journalism School in 2014. Before joining Reuters, she worked in Hong Kong for TIME and later in Brussels reporting on EU tech policy for POLITICO Europe.