米財政状況は悪化の一途で債務余裕度低下、ムーディーズが警鐘
[ニューヨーク 25日 ロイター] - 格付け会社ムーディーズは25日公表したリポートで、米国の財政状況が悪化の一途をたどっていると警鐘を鳴らした。
現在主要格付け会社で米国のソブリン格付けを最上級の「AAA」に維持しているのはムーディーズだけ。ただ同社は2023年11月に米国の格付け見通しを引き下げた。
スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は2011年の債務上限問題を巡る危機を受けて「AAA」格付けを引き下げ、フィッチも23年に「AAA」から「AAプラス」に変更している。
ムーディーズはリポートで「実現する確率は低いが非常に明るい経済・財政シナリオの下でさえ、(米国の)債務余裕度は他のAAA格付けや高格付けの国と比べて格段にぜい弱だ」と分析。今年見込みで100%弱の米国が抱える債務の国内総生産(GDP)比は、35年までに約130%に上昇し、21年に9%だった歳入に占める利払い費用は35年には30%に達すると予想した。
こうした債務余裕度の低下により、米国のAAA格付けを支える上では、ドルと米国債市場が国際金融資本市場で果たす中心的な役割の意味合いがより大きくなってきたという。
しかしトランプ政権の関税政策が実体経済に及ぼす悪影響や、財源手当てのない減税が実施される見通しなどが事態を難しくしている。
ムーディーズは「ドルと米国債市場が持つ強みが、財政赤字拡大と債務余裕度低下のマイナスを相殺し続けるという期待感は薄れてきた」と述べた。
またムーディーズは、米議会で超党派の合意を必要とする大規模な歳出削減の実行が政治的に困難なことや、関税が長期的には成長を妨げ、歳入増の効果を希薄化してしまう点なども指摘した。
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Davide Barbuscia covers macro investment and trading out of New York, with a focus on fixed income markets. Previously based in Dubai, where he was Reuters Chief Economics Correspondent for the Gulf region, he has written on a broad range of topics including Saudi Arabia’s efforts to diversify away from oil, Lebanon’s financial crisis, as well as scoops on corporate and sovereign debt deals and restructuring situations. Before joining Reuters in 2016 he worked as a journalist at Debtwire in London and had a stint in Johannesburg.