米国債売りは機能不全ではなく、政策への信頼低下を示唆-イエレン氏
イエレン前米財務長官は最近の米国債売りについて、連邦準備制度理事会(FRB)の介入を正当化するような機能不全ではなく、むしろ米国の政策決定に対する信頼の低下を示す懸念すべき兆候だと述べた。
イエレン氏は14日、経済専門局CNBCに対し、「市場で流動性が完全に枯渇するという意味での機能不全ではなく、米経済政策に対する信頼の喪失を示唆する動きが見られると思う」と述べた。この動きは「非常に憂慮すべきだ」と述べた。
1月に退任したイエレン氏は、先週に国債利回り上昇とドル下落が同時に起こったことについて、多くの市場参加者と同様に異常だとの見解を示した。この動きは「投資家がドル建て資産を敬遠し始め、世界の金融システムの基盤である米国債の安全性に疑問を投げかけている」ことを示唆していると語った。
金融安定性へのリスクが生じた場合については、2020年3月のコロナ禍初期に流動性を供給したように、FRBには介入する能力があると述べた。
安定性リスクについて「はっきりさせておくが、まだそのような事態に陥っているとは思わず、そうならないことを願っている」と話した。
先週の10年債および30年債の入札については、「好調だった」ことを歓迎すると述べた。
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イエレン氏は中国が米国債を売却することはないと予想した。外国勢として、中国は米国債の保有高で第2位。
「中国がドルを売却するとなれば、自国通貨の価値を押し上げ、米国債市場や世界的な金融安定性にリスクをもたらすことになり、それは中国自身に悪影響を及ぼすだろう。そして、事態の非常に深刻なエスカレートを意味する。そのため、中国がそのようなことをするとは思っていない」と述べた。
リセッション(景気後退)リスクについては、「大幅に高まっている」としながらも、「現時点ではそれを予測するほどではない」と語った。
FRBについては、トランプ政権が関税を引き上げる中、インフレ期待を注視する必要があると指摘。「利下げには消極的になるだろう」と述べた。
イエレン氏は「関税政策とそれが生み出す不確実性は、FRBにとって最も困難な状況を生み出している」と語った。
原題:Yellen Says Treasuries Show US Confidence Loss, Not Dysfunction(抜粋)