実の弟を“厳しい環境”に幽閉、叔父の自宅を爆破…北朝鮮総書記が身内に行ってきた“異常すぎる粛清”のリアル(文春オンライン)
金正恩総書記ら北朝鮮のロイヤルファミリーは、厚いベールの向こうで一体どのような生活を送っているのか。その一端を垣間見ることができるのが、北朝鮮全土に点在する最高指導者の専用別荘だ。 【写真】この記事の写真を見る(2枚) 豪華別荘には、恐ろしい「裏の顔」がある。かつて権力の中枢にいた金日成の実弟や、金正恩の叔母など、政争に敗れた親族たちが次々と送り込まれ、社会から抹殺されてきたのだ。 家族間での“異常な争い”の実態とは……。朝日新聞外交専門記者、広島大学客員教授を務める牧野愛博氏による 『金正恩 崖っぷちの独裁』 (文春新書)の一部を抜粋して紹介する。 ◆◆◆
金正恩らロイヤルファミリーはどんな生活を送っているのか。ひとつの手がかりは特閣、あるいは招待所と呼ばれる最高指導者の専用別荘から知ることができる。韓国ハンナラ党(現・国民の力)所属議員が09年10月に公開した資料によれば、当時の最高指導者、金正日総書記の専用施設は官邸1カ所、特閣33カ所、専用駅28カ所に及んだ。 13年9月、正恩と李雪主がジュエ(編集部注:金正恩の娘)と一緒にデニス・ロッドマン(編集部注:NBAの元伝説的選手。バスケットボールが趣味の金正恩によって、スポーツ交流を目的に招待された)と面会した場所も、江原道元山にある特閣だった。 衛星写真を分析している韓半島安保戦略研究院の鄭聖鶴映像分析センター長によれば、元山の特閣は広さ480ヘクタールで、プライベートビーチもある。海岸線の中央には、正恩がロッドマンらと昼食を楽しんだとされる施設も確認できる。金正日が釣りを楽しんだと言われている埠頭もある。過去には全長50メートルほどの遊覧船が確認された。 北朝鮮専門サイトのNKニュースは21年6月、民間衛星会社「プラネットラボ」の衛星写真を根拠に、元山沖で同月6日と13日に十数台の水上バイクの一群とプレジャーボートが航行している様子が確認されたと伝えた。ロッドマンも英日刊紙サンに、13年に滞在中、豪華なヨットや数十台の水上バイクを見たと証言した。 平壌市北部の金正恩の自宅がある龍城官邸はフェンスが三重になっている。面積は1140ヘクタール。東京ドーム約244個分の広さにあたる。敷地内には、正恩の自宅や射撃場、食堂、乗馬場、ボウリング場、劇場、宴会場などがある。専用列車駅もある。 また、特閣は、最高指導者の休息や執務以外の目的に使われることもある。中国と北朝鮮の国境地帯にある平安北道昌城の特閣は「中国に逃亡するときのための別荘」(鄭聖鶴)と言われている。敷地は、特閣のなかで最大の5140ヘクタール。敷地内には湖があり、北部を流れる鴨緑江とつながっている。飛行場も備えられていて、陸海空のどのルートを使っても、短時間で中国に渡ることが可能だ。