ウォール街で今年の株式相場予想見直しの動き-年末の強気から一転

JPモルガン・チェースRBCキャピタル・マーケッツといった企業でセルサイド戦略を担当するアナリストらが、2025年の株式相場に対する強気の見通しを修正し始めている。年が明けて2カ月が経過した今、トランプ米大統領の関税措置が経済成長の鈍化を招くとの懸念が高まり、米国株相場を急速に悪化させたためだ。

  2月半ばにS&P500種株価指数が最高値を記録してから3週間もたたないうちに起こった見直しの動きは、ウォール街で高まる不確実性の感覚を反映している。パイパー・サンドラー・アンド・カンパニーの分析によると、ストラテジストらのコンセンサス予想は、実際の市場の動きより約60日遅れて形成されるのが一般的だ。

  JPモルガンのストラテジスト、ドゥブラフコ・ラコスブハス氏は、顧客向けのリポートに「変更の時期、範囲、程度が明確でないため、政策による潜在的な悪影響を完全に予測することは依然として難しい。それまでは、投資家はボラティリティを受け入れるべきだ」と書いた。

  同氏のチームは6日、不確実性の高まりによって数値の「大きな標準誤差」が生じるとして、S&P500の年末予測値としていた6500が12月までに実現しない可能性があるとの見解を示した。この予測値は、7日の終値から約13%した水準だ。

パイパー・サンドラーのマイケル・カントロウィッツ氏は「今ほど確信が持てない状況はこれまでなかった。不確実性が高まり、結果の振れ幅も広がっている」と述べた。

  実際、ラコスブハス氏は、S&P500が2025年中に24年末に予想した水準から5200まで振れる可能性があると指摘した。

  JPモルガンのトレーディングデスクは、弱気の姿勢に転じている。国内総生産(GDP)の予想は急落し、収益修正は下方修正され、さらには最も重要なこととして、ウォール街はS&P500の年末予測を再検討せざるを得ないだろうとの見方を示した。

  トランプ大統領就任以降の7週間のうち、S&P500は5週間下落し、ナスダック100種株価指数は7日に調整局面に突入した。

  RBCキャピタル・マーケッツのロリ・カルバシナ氏も、企業収益の停滞と、異なるインフレ・金利シナリオを反映した新たなストレステスト・モデリングに基づき、年末時点でのS&P500の弱気シナリオを5775から5600に引き下げた。

  それでも、最新の雇用統計や、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が、金融当局として政策調整を急ぐ必要がないとコメントするなど、経済は引き続き堅調だ。ストラテジストらは、現時点ではS&P500の今年の年末予測を維持している。ブルームバーグがまとめた調査によると、ウォール街の予想平均は、S&P500が25年に6500をわずかに上回る水準で取引を終えるとしている。

原題:Wall Street Starts to Rethink Lofty S&P 500 Forecasts for 2025(抜粋)

関連記事: