ドイツ10年債利回り4%到達も、財政拡大で28年までに-BNPパリバ

Naomi Tajitsu

  • 防衛・インフラ支出増やすドイツの計画は「ゲームチェンジャー」
  • ECBは来年後半の利上げ開始もあり得るとストラテジスト

ドイツが財政拡大路線に転換したことで、同国の10年国債利回りは、世界金融危機以来の高水準に押し上げられる恐れがある。BNPパリバのストラテジストが指摘した。

  BNPのマクロ戦略グローバル責任者、サム・リントンブラウン氏は18日のブリーフィングで、防衛・インフラ支出を増やすドイツの計画は、ユーロ圏と市場の両方にとって「ゲームチェンジャー」との認識を示した。

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  リントンブラウン氏によれば、財政拡大計画は「国債増発と国債利回りの大幅上昇、ユーロ高」を意味し、ドイツ10年債利回りは、2028年までに金融危機の際に付けた4%に達する可能性がある。防衛・インフラ支出拡大に伴い、欧州中央銀行(ECB)は来年後半の利上げ開始もあり得ると同氏は予想した。

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  ブルームバーグの集計データによると、短期金融市場が織り込む来年のECB利上げ確率はごくわずかであり、今年については現行2.5%の中銀預金金利が年末までに2%に引き下げられる見込み。

  欧州の安全保障強化と経済成長促進を目指す防衛・インフラプロジェクトの資金調達で国債の大量発行が見込まれ、欧州債利回りは急上昇している。ドイツでは連邦議会(下院)で財源パッケージが可決され、数千億ユーロの借り入れに道が開かれた。

  リントンブラウン氏は「ECBは今年、利下げを続ける可能性が高いが、われわれの基本シナリオでは、それが現在の政策サイクルの底となり得る。その後利上げに転じれば、やはりドイツ国債の利回りレンジ上昇にやがて寄与する」と分析した。

  同氏によれば、利上げによりユーロは来年、2021年以来の高水準となる1ユーロ=1.20ドルまで上昇する可能性がある。これは、現在の1.09ドル前後を約10%上回る。

原題:BNP Paribas Sees Risk German Yield Hits 4% on Spending Boost (1)(抜粋)

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