ノーベル平和賞、ベネズエラの野党指導者に マリア・コリナ・マチャド氏

 10月10日、ノルウェーのノーベル賞委員会は、2025年のノーベル平和賞をベネズエラの野党指導者、マリア・コリナ・マチャド氏に授与すると発表した。カラカスで1月9日撮影(2025年 ロイター/Maxwell Briceno)

[オスロ  10日 ロイター] - ノルウェーのノーベル賞委員会は10日、2025年のノーベル平和賞をベネズエラの野党指導者、マリア・コリナ・マチャド氏(58)に授与すると発表した。ベネズエラ人としては初、ラテンアメリカ出身者では6人目の受賞となる。

授賞理由は「ベネズエラ国民の民主的権利を促進するたゆまぬ努力と、独裁政権から民主主義への公正かつ平和的な移行を実現するための闘い」。委員会は「権威主義者が権力を掌握しているとき、立ち上がって抵抗する勇敢な自由の擁護者を認めることが重要だ」と述べた。

マチャド氏は受賞の発表を受け「全てのベネズエラ国民の闘いが大きく評価された」とXに投稿。「われわれは勝利の瀬戸際にある。自由と民主主義の実現に向け、トランプ米大統領、米国民、中南米の人々、そして世界の民主主義国家をこれまで以上に頼りにしている」とした。

マチャド氏は2024年の大統領選に向けて野党が実施した予備選で圧勝したが、マドゥロ大統領側が不正の疑いがあると主張。同国裁判所が予備選の結果を停止する判断を示し、出馬を阻まれた。その後は、新たに野党候補となった元外交官のエドムンド・ゴンザレス氏の応援に回った。

マチャド氏の陣営はマドゥロ政権から圧力を受けた。何人かが逮捕され、6人は逮捕状を出されてアルゼンチン大使館に保護を求めた。マチャド氏も身を隠して暮らしており、授賞式に出席できるかは不明だ。

委員会の事務局長を務めるノルウェー・ノーベル研究所のクリスチャン・ベルグ・ハルプビーケン所長は、平和賞発表直前にマチャド氏と電話で話したとし、「彼女は感無量の様子で、ベネズエラで民主主義のために闘ってきた運動全体に対する賞だと言っていた」と述べた。

国連人権高等弁務官事務所は、マチャド氏の受賞に祝意を表し、平和賞授与は「ベネズエラ国民が自由で公正な選挙、市民的・政治的権利、法の支配を強く望んでいることを反映している」と述べた。

賞金は1100万スウェーデンクローナ(120万ドル)。授賞式は12月10日にノルウェーのオスロで開かれる。

今年のノーベル平和賞は、トランプ米大統領が受賞に強い意欲を示していたこともあり、結果が注目されていた。

ホワイトハウスのチュン報道官は、Xへの投稿で、ノーベル委員会は平和よりも政治を優先したと批判。「トランプ大統領は今後も和平協定を締結し、戦争を終わらせ、人命を救い続ける。彼は人道主義者の心を持っている。彼のように強い意志の力で山を動かせる人は他にはいない」とした。

ノルウェー国際問題研究所のディレクター、ハルバード・レイラ氏は、「委員会が、賞の授与に関して世論や政治指導者に影響されることはないという独立性を示したことが重要だ」と述べた。

米国がベネズエラの反体制派を支持し、トランプ氏がマドゥロ大統領を非難していることを踏まえ、「トランプ氏は好きなように解釈するだろうが、これは米国が長年支持していた大義に与えられた賞だ」とした。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab

関連記事: