「アメリカ・ファースト」の終焉か イラン攻撃はトランプ政権の対外政策の転換点に? MAGA内部で高まる反発

2016年の米大統領選を前にワシントンを訪れた際、私は政治コンサルタントのディック・モリス氏に話を聞く機会を得た。ビル・クリントン政権で選挙参謀を務めたことで知られ、当時はドナルド・トランプ候補の「影の助言者」とも目されていた人物である。

「『アメリカ・ファースト』でトランプは勝つよ」。モリス氏はそう言って、理由を簡潔に説明した。「米国は他国のために血と金を費やすことに疲れている。世界のためではなく、自国のために動くというメッセージが支持される」。

2月24日に行った一般教書演説では「アメリカの黄金時代だ」と自らの政策の成果をアピール この記事の画像(5枚)

当時の米国には、イラク戦争や長期にわたる中東関与への倦怠感が広がっていた。オバマ政権下でも対外関与は続き、有権者の間には「もう外国の戦争には関わりたくない」という空気が強まっていた。トランプ氏はその感情を的確に捉え、「アメリカ・ファースト」という言葉で一気に可視化したのである。

その結果は周知の通りである。このスローガンは単なる選挙戦術を超え、支持者の価値観そのものとなった。いわゆるMAGA(Make America Great Again)運動の思想的中核である。

イランへの軍事作戦を指揮するトランプ大統領(フロリダ州パームビーチ・2月28日)

だが第2期トランプ政権の動きは、この理念との間に微妙なずれを生み始めている。昨年のイラン核関連施設への攻撃、今年初めのベネズエラへの軍事介入に続き、今回のイランへの大規模攻撃は、その流れを決定づける出来事となった。

「アメリカ・ファーストではない」陣営内部から異論

トランプ大統領は「差し迫った脅威の排除」を掲げたが、結果として中東全体の緊張を一気に高め、報復の応酬を招いている。さらに、政権転換も視野に入れたと受け止められる強硬姿勢は、「関与の縮小」という従来の方針とは明らかに方向を異にする。

こうした変化に対し、これまでトランプ氏を支えてきた陣営の内部から異論が噴出している点は見逃せない。保守派の論客タッカー・カールソン氏は今回の攻撃を「邪悪」と断じ、ランド・ポール上院議員らも憲法上の手続きを欠くとして批判に回った。

I am opposed to this War. This is not “America First.”

When Congress reconvenes, I will work with @RepRoKhanna to force a Congressional vote on war with Iran.

The Constitution requires a vote, and your Representative needs to be on record as opposing or supporting this war.

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