DeepSeekってやっぱり危険? 中国政府へデータ送信の疑惑あり
世界を驚かせた新しいAIツール「DeepSeek」に、ユーザーデータを中国政府に送信する機能が隠されている可能性があると専門家が警鐘を鳴らしています。ABCニュースが伝えました。
「過去イチレベル」のリスク?
サイバーセキュリティ企業「Feroot Security」のCEO イワン・ツァリニー氏によると、DeepSeekのコード内には、中国本土にあるサーバーや企業と直接つながる仕組みが含まれており、「過去に見たことのないレベルのリスク」とのこと。ユーザーがアカウント登録やログインを行なうと、知らないうちに中国国内でアカウントが作成され、検索履歴やオンライン行動が中国政府のシステムに可視化される可能性があるらしいのです。
特に問題視されているのは、DeepSeekのコード内で見つかった「CMPassport.com」へのデータ送信機能。このサイトは、中国政府が所有する通信企業「チャイナモバイル」のオンライン登録システムとなっています。
チャイナモバイルはアメリカで運営禁止
チャイナモバイルは、2019年に米連邦通信委員会(FCC)によってアメリカでの事業運営を禁止され、2021年にはニューヨーク証券取引所から上場廃止となっています。さらに2022年には、「国家安全保障上の脅威リスト」に追加されるなど、アメリカ政府から厳しく監視されている企業。そこに情報が流れているってヤバいのでは…?
中国政府による露骨な監視の一例?
元米国土安全保障省の情報分析担当次官代行 ジョン・コーエン氏は、「DeepSeekは中国政府による監視の最も露骨な例」と指摘しています。
「アメリカの国家安全保障関係者は、中国の技術企業がバックドアを設けて、データを中国政府に送信している可能性を常に疑ってきました。
今回のケースでは、そのバックドアが発見され、しかもすでに開いているのです。これは極めて危険です」
米政府「誰もダウンロードすべきではない」
米下院情報委員会のジョシュ・ゴットハイマー議員は、「DeepSeekはすべての政府機関のデバイスから即時禁止すべき」と主張しています。
「誰もこのツールをダウンロードすべきではありません」と強く警告しています。
また、DeepSeekの利用規約には「本サービスは中華人民共和国の法律に準拠する」と明記されており、プライバシーポリシーによると、チャット履歴、検索クエリ、キーボード入力のパターン、IPアドレス、さらには他のアプリの活動データまで収集することが記載されています。
どのデータが実際に中国政府へ送信されているのか、専門家でも特定することは困難らしいのですが、さすがに怖くなります。
1度利用したらその後のウェブ活動も追跡?
さらに懸念されているのは、DeepSeekのウェブツールが各ユーザーの「デジタル指紋」を作成して、1度でも利用すると、その後のウェブ活動もトラッキングできる可能性があること。
米下院「米中戦略競争特別委員会」のラジャ・クリシュナムルティ議員は、「中国政府がアメリカ人や世界中のユーザーデータを収集しようとしていることは明らか」と話した上で、「中国政府が管理する企業のアプリを使用することは、常にデータ漏洩のリスクを伴います」と警告しています。
さて、肝心のDeepSeekとチャイナモバイルですが、いずれもABCニュースの問い合わせに対して、現時点ではノーコメント。
あくまで可能性の範囲を出ませんし、そもそもAIに情報をインプットすることはリスクを伴います。とはいえ、利用規約に堂々と書かれている限り、DeepSeekの利用は気をつけた方がいいのかもしれません。
Source: ABC