米財務長官、関税協議「9月1日までに決着の可能性」-延長示唆

トランプ米大統領は27日、上乗せ関税の一時停止措置が終了する7月9日までに一部の国・地域に対する関税を引き上げる構えを強めた。一方、 ベッセント財務長官はこれよリ先、主要貿易相手との協議が9月1日までにまとまる可能性があるとの見解を示し、一時停止措置を延長する可能性があることを示唆した。

  主要な貿易相手国・地域に課す関税についてトランプ氏が最終的にどのような判断を下すのか、不透明感が一段と強まった格好だ。

  トランプ氏はホワイトハウスでの記者会見で「たぶん今後1週間半ほどの間、あるいはそれ以前に、米国で事業を行うために支払うべき対価について各国に書簡を送るつもりだ。多くの国と話をしている」と述べた。

  7月9日に期限を迎える一時停止措置について、それが確定しているのかどうかを問われたトランプ氏は、前倒しする可能性もあると発言。「われわれは何でもできる。延長することもできるし、短くすることもできる」と語った。

  さらに、米国が「おそらく4-5カ国」と通商合意を結んだとも述べた。これには中国および英国との合意も含まれる。

9月1日までに決着

  これに先立ち、ベッセント氏は「各国から非常に良い条件の提案が寄せられている」とFOXビジネスで述べた。

  ラトニック商務長官は前日、今後2週間以内に複数の貿易枠組みの協定を最終的に取りまとめる用意があると発言。「まず最重要の10件の協定をまとめ、それを適切なカテゴリーに分類する。その他の国々はそれに続く形になる」と語っていた。

関連記事:米中、関税休戦への署名を確認-10の貿易相手と合意近いと米商務長官

  ベッセント氏は、米国にとって重要な貿易相手は18カ国・地域であることを改めて強調。このうち英国とはすでに合意に達しており、中国とも貿易枠組みで最終的な理解の取りまとめに至ったとして、「この2カ国は現時点では完了」との考えを示した。

  その上で同氏は「重要な18のうち10-12と決着できれば、さらに20の重要な相手があるが、通商協議はレーバーデーまでに決着する可能性がある」と述べた。具体的な国名などは言及しなかった。今年のレーバーデーは9月1日となっている。

  トランプ大統領は4月、発動したばかりの上乗せ関税の90日間の一時停止措置を発表。ナバロ上級顧問(貿易・製造業担当)は当時、「90日間で90件の交渉」が成立する可能性があるとの見方を示していた。

  しかし、現時点ではそうした進展は見られていない。一部の貿易相手は交渉で強硬姿勢を崩しておらず、トランプ氏も交渉結果に満足できなければ、一方的に上乗せ関税を発動する構えを示しているためだ。

  トランプ政権が締結を目指す通商合意がどこまで包括的な内容になるのかも不透明だ。トランプ氏が「包括的」と評価する英国との協定も、重要な論点は未解決のまま残されている。中国との合意についても、フェンタニル輸問題など複数の課題が残されている。

原題:Bessent Says Push for Trade Deals Could Wrap Up by Sept. 1 (1)(抜粋)

関連記事: