菅野がメジャー1年目で「カギになってくる」ボールの仕上がりに収穫 監督も絶賛「エリートな制球」

◆オープン戦 パイレーツ7―3オリオールズ(26日、米フロリダ州ブラデントン=レコムパーク)

 メジャー移籍1年目のオリオールズ・菅野智之投手(35)が26日(日本時間27日)、敵地フロリダ州ブラデントンでのパイレーツ戦でオープン戦初登板を果たし、抜群の制球力を披露した。2回を28球で2安打無失点。最速は93マイル(約150キロ)を記録した。ボールや環境の違いがある中、持ち前のコントロールでブランドン・ハイド監督(51)から「エリートな制球」と大絶賛された。

 上下左右へ、菅野はあらゆる球種でストライクゾーンにアタックした。初回は先頭に内野安打を許したが、スプリットで狙い通りの二ゴロ併殺に仕留め、6球で終了。2回2死一、二塁も切り抜け、2回0封と上々の“メジャーデビュー”を果たし、「2イニング目はある程度(やりたいことが)できましたけど、1イニング目はあっという間に終わっちゃった。それなりに満足しています」と冗談を交えながら充実感を口にした。

 直球、スプリット、スライダー、カットボールなど多彩な球種を自在に操った。ボールの違い、乾燥した気候、ピッチクロック(投球間の時間制限)、ピッチコム(サイン伝達用の電子機器)や、ベンチ前でのキャッチボールができないなど、日本との違いに適応しながら結果を出した。ストライク率は61%。たくましいオールドルーキーに、ハイド監督からは称賛の言葉しか出なかった。

 「山ほどストライクが取れていた。素晴らしい投球だった。直球の制球が良かったし、すごくいいスプリットもあった。オフがあったと思えないほど、いい初登板だった。複数の球種でエリートな制球だった。外したとしても、ほんの少し外れるだけ。見ていて楽しかった」

 中でも菅野が収穫に挙げたのが、2回の投球だった。2死一、二塁。スプリット2球で連続空振りを奪い、フルカウントからこの日の最速93マイル(約150キロ)の直球で二ゴロに料理し、「簡単に追い込んで、カウント3―2から、外に直球をしっかり通せて、結果的に二ゴロ。ああいう積み重ねが、今年1年、カギになってくるんじゃないかな」と手応えを隠さなかった。

 この日は正捕手のラッチマンではなく、控え捕手のサンチェスとバッテリーを組んだ。巨人時代、小林とのスガコバコンビで勝利を積み重ねた男は「捕手の要求に応えるのが好きですし、僕の持ち味。ある程度は狙ったところに投げられた」と満足そうに振り返った。

 開幕ローテ入りへ、次のステップに入る。NPB通算136勝の昨季MVP右腕は「今は1球1球試しながら、探り探りというか。配球が線になってない」と現状を明かし、「1球1球、意図を持って投げたいので、捕手と密に話していけば、投球を作り上げられる。(次回は)自分の意思も伝えながらできたら」と次戦のテーマを掲げた。着実にステップを踏み、菅野の投球を作り上げていく。

菅野に聞く

 ―オープン戦初登板。

 「まず、環境に慣れること。ピッチクロックやピッチコム。あとは捕手とのコンビネーションであったり、イニング間にキャッチボールできなかったので、そういう環境に慣れることを意識した。いい準備をして試合に臨めたので、また一つ階段を上れたのかなという気はする」

 ―初登板を迎えて。

 「準備してマウンドに上がるだけ。それ以上もそれ以下もない。特別な感情は別になくて、当日を迎えたら、準備してきたものをマウンドに上がって出すだけ」

 ―直球の仕上がり具合。

 「まあまあじゃないですか。この時期なんでね。そんなに僕スピード出ないんで。うまくファウル取ったり、1球空振りも取れたかな(ファウルチップ)。ボール球からも空振りを取れたし、そこは継続していきたい」

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