【日本市況】日経平均1400円安、米関税や半導体懸念-円と債券上昇

28日の日本相場では株式が急反落し、日経平均株価は約5カ月ぶりの安値で終えた。トランプ米大統領が中国に10%の追加関税を課すと表明したことや、米国での半導体関連株の急落を受け、幅広いセクターに売りが出た。リスク回避の動きで債券は上昇。円は小幅に下げた。

  T&Dアセットマネジメントの酒井祐輔シニア・トレーダーは、トランプ氏の発言で市場全体に「恐怖感」が広がっており、日本株には「パニック的な売り」が出たと話す。米エヌビディアの決算発表を受けて前日に相場が上昇していたことも売りに拍車をかけたとみていた。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大西耕平上席投資戦略研究員は、株価指数先物が主導して下げたと指摘。過熱感があるとし、週明けに自律反発する可能性は十分あるとの見方を示した。

国内株式・債券・為替相場の動き
  • 東証株価指数(TOPIX)の終値は前日比2%安の2682.09
  • 日経平均株価は2.9%安の3万7155円50銭
  • 長期国債先物3月物の終値は前日比25銭高の139円77銭
  • 新発10年債利回りは2ベーシスポイント(bp)低い1.37%
  • 円は対ドルでニューヨーク終値比0.2%安の150円05銭-午後4時00分現在
    • きょうこれまでの値幅は150円15銭から149円10銭

株式

  東京株式相場は大幅反落。トランプ米政権の対中追加関税やエヌビディアなど米半導体関連株が急落が嫌気され、電機や機械、輸送用機器など輸出関連に売りが出た。銀行など金融株も売られ、東証33業種のうち29業種が下落した。個別ではディスコやアドバンテスト、フジクラなど半導体関連や人工知能(AI)関連株の下げが目立った。

  MSCIの株価指数見直しに伴う売買があったため、東証プライム市場の売買代金は概算で6兆2109億円と、昨年11月25日以来の大商いになった。

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  大和証券の柴田光浩シニアストラテジストは、関税政策に加えて米国の景況感の弱さを示す経済指標が続き、センチメントが悪化していると指摘。エヌビディアの決算については、「期待に応えたと言えば応えたが、期待を上回ったかというとそれほどでもない」との見方を示した。

債券

  債券相場は上昇。2月の東京都区部消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったことや、米国の関税政策を巡るリスク回避の流れを受けて買いが優勢だった。

  りそなアセットマネジメントの藤原貴志債券運用部長兼チーフファンドマネジャーは、日経平均が大幅に下落しリスク資産対比で債券は売りにくい状況と指摘。米国の関税政策に関する発表など週末にかけてネガティブな情報が出る可能性が高いとし、「きょうは売りたい人も売らない」と話していた。

関連記事:東京CPIは4カ月ぶり伸び縮小、電気・ガス代補助金再開などで

  T&Dアセットマネジメント債券運用部の浪岡宏チーフ・ストラテジスト兼ファンドマネジャーは東京都区部CPIについて、予想を下回ったが生鮮食品とエネルギーを除くコアコアは前月と変わらず、長期的な金利上昇トレンドは変わっていないと述べた。

新発国債利回り(午後3時時点)

  2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債   0.805% 1.000% 1.370% 2.020% 2.355% 2.705% 前日比 -2.0bp -3.5bp -2.0bp -2.0bp +1.0bp +4.5bp

為替

  円相場は下落。午後に日本株の下げが一服し、円を売り戻す動きが出た。投資家のリスク回避姿勢が強まる場面では一時149円台前半に上昇するなど荒い展開だった。

  SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、午後は米長期金利が低下する中でドル買い・円売りが出ているとし、「株価の下げが一服したことで円を売り戻す動きもあるかもしれない」と話した。米関税については「不確実性が高まるとドル買い・円買いの展開となるが、原因が米国にあることを考えると、最終的には円買いが勝ってくる」との見方を示した。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

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