USスチール首脳にはアクティビストが推す人物の方が良い-労組会長
全米鉄鋼労働組合(USW)のデービッド・マッコール会長は、アクティビスト(物言う投資家)が米鉄鋼大手USスチールの最高経営責任者(CEO)に推している鉄鋼業界のベテラン、アラン・ケステンバウム氏について、現CEOのデービッド・ブリット氏よりも「はるかに良い選択」だと述べた。
ケステンバウム氏を推すアンコラ・ホールディングス・グループは先月、USスチール株の保有を公表。同氏を巡りマッコール氏はインタビューで、自分も知っている人物であり、「ブリット氏や日本製鉄よりもはるかに良い選択だと思う」とし、ブリット氏からCEOが代わるのは組合員にとって良いことだと語った。
マッコール氏は、日鉄によるUSスチール買収計画を阻止するようバイデン前大統領を説得する上で影響力を発揮した経緯がある。
関連記事:USスチールに多額出資も、CEO選任なら-アクティビスト推す候補
マッコール氏はケステンバウム氏を全面的に支持するには至らなかったものの、カナダの鉄鋼大手ステルコ・ホールディングスの経営者だった当時の労働者の待遇は適切だったと指摘した。
「われわれはアラン・ケステンバウム氏を知っている。彼は良い仕事をしてきた」とした上で、「この取引を私が支持するかどうかや、ケステンバウム氏の事業計画がどうなるかは分からないが、彼ならそれについてじっくりと説明してくれるだろう」と語った。
アンコラは先月、USスチールに日鉄との合併断念を迫る意向を示し、ケステンバウム氏ら9人をUSスチールの取締役候補に指名した。ケステンバウム氏は昨年11月にステルコをクリーブランド・クリフスに売却した。
ただアンコラの持ち分はわずかなためケステンバウム氏が次期CEOはもちろん、取締役に就任できる保証もない。
トランプ米大統領は今月、日鉄はUSスチールを買収するのではなく、同社に投資すると発言。その後、日鉄がUSスチールの過半数株式を所有することはできないと述べた。一方、日鉄の今井正社長は25日、これから米政府と協議を進めるが、「基本的なスターティングポイントは今の合併契約になる」との考えを示した。
関連記事:日鉄社長、出資と設備投資は切り離せない-USスチール買収で (2)
原題:Union Leader Says Kestenbaum Is ‘Better Choice’ for US Steel CEO(抜粋)