日銀、政策金利の現状維持を決定 海外動向など「不確実性高い」

 3月19日、日銀は、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.50%程度で維持することを全員一致で決定した。写真は日銀本店。都内で2023年9月撮影(2025 ロイター/Issei Kato)

[東京 19日 ロイター] - 日銀は19日、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.50%程度で維持することを全員一致で決定した。声明文では、トランプ米政権の関税政策と各国の対抗措置が海外の経済・物価に及ぼす影響などをリスク要因に挙げ、日本の経済・物価を巡る不確実性は「引き続き高い」と指摘した。

声明文では、景気について「一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している」との現状判断を維持した。海外経済は「総じてみれば緩やかに成長している」とし、輸出や生産は「横ばい圏内の動き」と指摘した。個人消費は「物価上昇の影響などがみられるものの、緩やかな増加基調にある」との判断を据え置いた。

その上で、景気の先行きは、海外経済が緩やかな成長続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、「潜在成長率を上回る成長を続ける」との見通しを改めて示した。

物価の基調的な上昇率については、賃金と物価の好循環が引き続き強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから徐々に高まっていくと予想されるとし、「展望リポートの見通し期間後半には物価目標とおおむね整合的な水準で推移する」との見方を維持した。予想物価上昇率は「緩やかに上昇している」とした。

また、来年度にかけて、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比に対しては、コメ価格の高水準での推移継続や政府の電気・ガス価格抑制策の反動が押し上げ要因になるとした。

日銀はリスク要因として、トランプ米政権の関税政策と各国の対抗措置を念頭に「各国の通商政策等の動きやその影響を受けた海外の経済・物価動向」を挙げたほか、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動なども指摘し、日本の経済・物価を巡る「不確実性は引き続き高い」と指摘した。そのもとで、金融・為替市場の動向やその日本経済・物価への影響を「十分注視する必要がある」と改めて指摘した。このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで「過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある」とも述べた。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab

関連記事: