トランプ氏、「アメリカンドリームの再生」をテーマに議会演説へ
トランプ米大統領は4日夜(日本時間5日午前)、上下両院合同会議で施政方針について演説する。テーマは「アメリカンドリームの再生」で、経済やインフレ、関税、ウクライナでの戦争、ロシアとの関係、中東情勢などが主なトピックとなる見通しだ。
政権2期目のトランプ氏は1月20日の就任から1カ月余りで、連邦政府職員の間に混乱を生じさせ、同盟国の間に衝撃を広げている。
トランプ氏は2大貿易相手国のメキシコ、カナダ両国に新たに関税を賦課した。ただ、ラトニック米商務長官は4日、「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の対象となる両国からの輸入品について、関税の軽減に向けた道筋を5日にも発表する可能性があることを明らかにした。
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一方、トランプ氏のロシア寄りの発言によって、ウクライナでの戦争の解決を巡る見通しに不確実性が高まっている。トランプ氏はウクライナに対する全ての軍事支援の一時停止を命じた。
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他方で、米政府当局者はウクライナとの鉱物資源のディール(取引)の復活に急きょ取り組んでいると、複数の関係者が明らかにした。トランプ氏が4日夜の議会演説でウクライナとのディールを発表することを目標にしているという。
国内では、イーロン・マスク氏率いる「政府効率化省(DOGE)」が進める歳出削減・連邦職員の大量解雇に対し全米で抗議活動が行われ、共和党議員の一部は有権者の怒りに直面している。
経済
トランプ氏は米経済を立て直し、インフレを抑制することを公約に掲げてホワイトハウス返り咲きを果たした。だが、CBSニュースとユーガブが共同で実施した世論調査によれば、インフレ対策をトランプ氏が「かなり」優先しているとした回答はわずか29%で、経済についてそうした見方をしたのは36%にとどまった。
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トランプ氏は演説で輸入品への関税と法人減税が製造業の雇用を米国に戻すという主張を繰り返す公算が大きい。また議会に対しては、新たな減税策の可決、国境警備予算の増額、国内エネルギー生産を促進する法案の可決を求める構えだ。
ウクライナ・中東
ウクライナのゼレンスキー大統領は4日、ロシアの侵攻を終結させるため迅速に動く用意があるとし、和平を目指す途中で起きたトランプ氏との口論は「遺憾」だと強調した。ゼレンスキー、トランプ両氏が先週行った米大統領執務室での会談は決裂し、トランプ氏はゼレンスキー氏への圧力を強める結果となった。
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トランプ氏も3日、ゼレンスキー氏と公の場で激しく対立したにもかかわらず、ウクライナとの鉱物資源取引がなくなったとは思っていないと述べていた。
このほか、パレスチナ自治区ガザを米国の管理下に置き、中東各国にガザからパレスチナ人を受け入れるよう求めて、ガザを中東の「リビエラ」にするというトランプ氏の構想は波紋を広げ、アラブ諸国の首脳らから反発の声が上がっている。
原題:Trump Addresses a Joint Session of Congress: What to Watch、Trump Team Optimistic About Minerals Deal After Zelenskiy Pledge、Trump National Address to Test Economic Message Amid Price Fears(抜粋)