セブン&アイを格下げ方向のCWに指定、自社株買い発表受け=S&P

 3月11日、 S&Pグローバルはセブン&アイホールディングスと、国内および北米のコンビニ事業子会社2社の長期・短期格付けを、引き下げ方向の「クレジット・ウオッチ」に指定した。写真はセブン&アイのロゴで、2017年12月に都内で撮影(2025年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 11日 ロイター] - S&Pグローバルは11日、セブン&アイホールディングス(3382.T), opens new tabと、国内および北米のコンビニ事業子会社2社の長期・短期格付けを、引き下げ方向の「クレジット・ウオッチ」(CW)に指定した。同社が発表した株主価値向上策が、財務方針の保守性を損なう可能性を高めているとしている。今後、株主還元の取り組みや財務方針などを精査し、3カ月以内にCWを解除する予定という。また、アリマンタシォン・クシュタール(ATD.TO), opens new tabによる買収が実現すれば、信用力へのより強い下方圧力になるとしている。
セブン&アイは6日、社長交代と共に2兆円規模の自社株買いなど株主還元を強化する方針を発表した。北米コンビニ事業会社の新規株式上場(IPO)による調達資金と、非中核事業を束ねる中間持ち株会社の売却益を合わせ、2030年度までに総額2兆円の自己株式取得を通じて株主に還元する もっと見る

S&Pは、セブン&アイは子会社の売却などで得た巨額資金を、成長投資や債務返済よりも株主還元に優先して配分する可能性が高いと指摘。株主をより重視する財務方針に加え、同社の信用力を支えるコンビニ事業の利益回復は国内外で遅れると見込まれることから、主要キャッシュフロー目標が改善しない可能性があることに懸念を示している。

今後は、株主還元の具体的な時期と規模、M&Aを含むコンビニ事業の成長施策、財務方針、国内外コンビニ事業の業績回復と競争力の見通し、子会社上場に伴うグループ運営体制などを精査し、2─3カ月でCWを解除する予定。

業績回復が進まない、あるいは財務の保守性よりも株主還元などを優先する意思が強いとS&Pが判断した場合は、長期発行体格付けを1ノッチ程度引き下げる可能性があるという。

また、カナダの小売大手クシュタールによる買収が行われた場合、買収資金が有利子負債により調達されればクシュタールの有利子負債の対EBITDA倍率は現在の3倍以下から5倍超に上昇する可能性があるとみている。

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