トヨタ、最高時速320キロ超のアルミ骨格HVなど発表 豊田会長「秘伝のタレを未来へ」

トヨタ自動車が世界初公開した新型の高性能スポーツ車「GR GT」=12月5日、静岡県裾野市の「ウーブン・シティ」(永田岳彦撮影)

トヨタ自動車は5日、新型の高性能スポーツ車「GR GT」など3車種を世界初公開した。公開されたのは「GR GT」と、「GR GT」がベースの新型レーシングカー「GR GT3」、「レクサス」ブランドの電気自動車(EV)のスポーツ車のコンセプトモデル「レクサス LFA コンセプト」。3車種とも車体の骨格を全てアルミニウム製にして軽量化を図るなどトヨタ初の新技術も盛り込み、技術の継承やブランド力の向上につなげたい考えだ。

公道を走るレーシングカー

「『もっといい車づくり』をひたすら続けていく」。5日、静岡県裾野市で建設を進めている次世代技術の実証都市「ウーブン・シティ」で行われた発表会に登壇した豊田章男会長はこう強調した。

トヨタのスポーツ車ブランド「GR」で展開する「GR GT」は公道を走るレーシングカーがコンセプト。1967年発売の「2000GT」や2010年発売の「レクサス LFA」のような本格的な高性能スポーツ車と位置付ける。アルミ製の車体骨格以外にも、風の影響を受けずに超高速で安定した走行を可能とする徹底した低重心化や、排気量3998ccのV型8気筒ツインターボエンジンとモーターを搭載したハイブリッド車(HV)とするなど随所にこだわりを盛り込んだ。2人乗りで最高速度は時速320キロメートル以上。「GR GT」は2027年ごろの発売を目指す。「GR GT3」と「レクサス LFA コンセプト」は発売時期は未定。価格や販売地域は明らかにしていない。

(手前から)レクサスの電気自動車(EV)スポーツ車のコンセプトモデル「レクサス LFA コンセプト」、新型スポーツ車「GR GT」、新型レーシングカー「GR GT3」=12月5日、静岡県裾野市の「ウーブン・シティ」

製造技術や知見の継承図る

トヨタは今後も一定期間ごとにこうした高性能スポーツ車を開発することで、製造技術や知見の継承を図る考えだ。ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)傘下の高級スポーツカーメーカー「ポルシェ」やイタリアの高級スポーツカーメーカー「フェラーリ」などに対抗する狙いもありそうだ。

豊田氏は、技術や知見を調味料になぞらえて「秘伝のタレを未来へ残していきたい。仲間たちに車づくりを託していきたい」とも話した。(永田岳彦)

発表会に登壇したトヨタ自動車の豊田章男会長=12月5日、静岡県裾野市の「ウーブン・シティ」

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