ついに1台で40TBもの容量を持つHDDがSeagateから出荷される
投資家・アナリスト向けのカンファレンスで、Seagateが新世代の40TB HDDを限定出荷したと発表しました。SeagateはHDDのベースとなる技術を進化させ続けており、100TBの容量も視野に入れた開発を進めています。
Seagate Technology Holdings plc (STX) Seagate 2025 Investor and Analyst Conference - (Transcript) | Seeking Alpha
https://seekingalpha.com/article/4789561-seagate-technology-holdings-plc-stx-seagate-2025-investor-and-analyst-conference-transcriptSeagate’s insane 40TB monster drive is real, and it could change data centers forever by 2026! | TechRadar
https://www.techradar.com/pro/seagate-confirms-40tb-hard-drives-have-already-been-shipped-but-dont-expect-them-to-go-on-sale-till-202640TBのHDDは、Seagateが本格的に導入している「熱アシスト磁気記録(HAMR)」という手法を用いたHDDです。HAMRは、従来の垂直磁気記録(PMR)という記録方法とは違い、磁気記録媒体を加熱して柔らかくすることで高密度のデータ保存を可能にするものです。
SeagateはHAMRを採用した「Mozaic 3+」という技術でプラッタ(磁気ディスク)当たり3TBの面密度を達成しており、2025年には同技術で製造した36TBの容量を誇るHDDを出荷していました。
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Mozaicでは記録媒体に粒状の鉄・白金メディアを使用しているのが特徴。このメディアの主なポイントは粒子サイズを縮小できることで、これによりビットサイズを縮小し、面密度を向上させています。 Seagateによると、Mozaic 3はディスク当たり4TBという容量を確保できる「Mozaic 4」や、ディスク当たり5TBの「Mozaic 5」へと進化していくとのこと。既にMozaic 4は試作段階にあり、2025年2月にはMozaic 4を採用した40TBのHDDを限定的に出荷しています。これは、一般家庭向けではなくデータセンター向けの製品です。Seagateは2026年まで品質保証のためのテストを継続し、2026年前半にはMozaic 4のHDDの生産を本格的に開始するとのことです。
Mozaic 4+は2025年第3四半期、5+は2027年末から2028年初頭に登場する予定で、おおよそ2032年にMozaic 10のクオリティが登場する予定。Mozaic 4はディスク当たり4TBの40TB構成から、2027年初頭には44TBまで、徐々に拡張されていく予定です。理論的にはディスク当たり15TBまで到達できる可能性がありますが、実現するには既存の枠組みを打ち破るイノベーションが必要になるといいます。 なお、SeagateのMozaic 3+を採用したHDDの出荷台数は2025年5月時点で100万台を超えたそうです。
近年、AIを利用するためにデータセンターの需要が急増しており、データセンターのニアラインストレージには今後4年間で約7.2ゼタバイト(72億TB)の新規データが格納されると予測されています。これは、過去10年間に業界が必要としたストレージ容量を上回る量です。 Seagateのデイブ・モズレーCEOは「テクノロジーの移行が迫る中、私たちは今まさに転換点を迎えていると考えています。私たちの業界ではもはやストレージは供給過剰の状態ではありません。私たちはこれまで需給の健全なバランスを保つことにかなり厳格に取り組んできており、過去のように過剰生産能力に陥ることはありません。2028年に人類が年間400ゼタバイトのデータを創造する頃には、我々は50TBのハードディスクを出荷していることになるのです」と話しました。 なお、Seagateの最高商務責任者(CCO)を務めるBS・テー氏は、以前「2030年までに100TB超のHDDを発売することを目指している」と語っていました。
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