米制裁、ロシアのエネルギー輸出に混乱もたらす可能性-IEA報告

Bloomberg News

  • 制裁対象のタンカー、ロシアの海上輸出の約5分の1に相当
  • ロシアの石油採掘・出荷能力への影響は不明-供給見通しは維持

国際エネルギー機関(IEA)は15日に発表した月報で、米国がロシアの海上石油輸出の5分の1以上を占めるタンカーを制裁対象としたことは、ロシアのエネルギー輸出に大きな混乱をもたらす可能性があると指摘した。

  報告書によると、米国が10日に制裁対象に加えたロシアのタンカー160隻は、2024年に1日当たり160万バレル以上のロシア産原油を輸送しており、これは同国の海上輸出量の約22%に相当する。IEAは、現時点ではロシアの石油供給の見通しを維持しており、「状況の進展に応じて」更新するとしている。

  IEAは、ロシアが制裁を回避しながら原油を輸送するために編成した「シャドー・フリート(影の船団)」に対する一連の制裁が、「極めて効果的であり、対象のタンカーの活動を90%削減した」と分析している。

A total of 270 tankers have been sanctioned for carrying Russian oil

Sources: US Treasury Department, UK Treasury, European Union

  米国が新たに科した制裁では、シャドーフリートの大半をブラックリストに指定したほか、ロシアの主要生産者であるガスプロム・ネフチスルグトネフテガスをはじめ、ロシア産原油の複数の取引業者、主要な海上保険会社を対象とした。また、ロシアの原油採掘能力の低下を狙い、米国の石油サービス提供企業がロシアで事業を行うことを禁じた。

  IEAは、新たな制裁は重要ではあるが、ロシアの石油の採掘・出荷能力への影響はまだ不明としている。IEAの現時点の予測によると、ロシアの原油のみの生産量は、昨年が日量930万バレルで、今年は同940万バレル。

原題:US-Banned Tankers Moved Fifth of Seaborne Russian Oil, IEA Says(抜粋)

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