中国成長率を下押し、トランプ政権が関税制度の抜け穴ふさぐ-野村

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  • 中国GDP成長率、今年0.2ポイント押し下げられる-野村
  • 米中間で通商データの開き拡大、その一因が小包介した貿易の急増
Photographer: VCG/Visual China Group

トランプ米大統領が中国企業による米関税制度の抜け穴利用を認めないと決めたことで、中国の経済成長率が今年、下押しされるとの見通しを野村ホールディングスが示した。

  トランプ氏は対中追加関税の一環として、小包向けの「デミニミス」免税措置は今後、適用されないと大統領令に明記。

  これまでは、こうした少額輸入の免税措置により、一定額以下の製品を関税なしで米国に輸入することが可能で、中国系の電子商取引プラットフォームを介して米国の消費者に安価な商品を直接出荷する中小企業にとって大きな利点となっていた。

Trump extinguished a tariff exemption for low-value parcels

Source: China's General Administration of Customs

  野村の推計によれば、申告価格が800ドル(約12万1000円)未満の品目は関税なしで米国向けに輸出できるとするデミニミス規定を利用し、PDDホールディングスの格安サイト「Temu」やファッション通販のSHEIN(シーイン)といった企業が昨年、米国に460億ドル相当の小包を発送した。

  野村の陸挺氏らエコノミストはリポートで、10%以上の関税やその他の新たなコストにより、こうした中国の対米出荷は大幅に減少する見込みで、今年の国内総生産(GDP)成長率は0.2ポイント、輸出全体の伸び率は1.3ポイントそれぞれ押し下げられると予想した。

データの開き

  小包を介した米中間の貿易はここ数年で急増。ブルームバーグが政府のデータを分析したところ、中国は昨年、これらの輸出品について230億ドル相当と公式に報告していた。

  だが、これはほぼ間違いなく過少で、企業が商品をまとめてメキシコに送り、その後、米国に発送するため小包に小分けしているという報道もある。

  一方、中国が発表する対米輸出額は2020年以降、米国が報告する中国からの輸入額よりも多くなっている。こうした異常な開きは昨年、860億ドルに拡大した。

  その背景にあるのが小包を通じた貿易の増加で、中国側がカウントしている一部の小包を、米国は統計に含めていない。

Gap was a record $86 billion last year, with the De Minimis loophole part of the cause

Source: China's General Administration of Customs, US Census Bureau

原題:Trump’s Ban of Trade Loophole Will Cut China Growth, Nomura Says (抜粋)

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