与党敗北なら円安加速、参院選後の政治枠組み変化に注意=来週の外為市場
[東京 18日 ロイター] - 来週の外為市場でドル/円は、参議院選挙の結果を消化しながらの展開となる見通しだ。特に自民・公明両党の連立政権が過半数を割り込んだ場合、直後に円売りが加速する可能性があるだけでなく、選挙後の政権の枠組みや財政政策など、政治関連のニュースに為替相場が上下することが想定される。
予想レンジはドルが146━152円、ユーロが1.145―1.185ドル。
参院選を受けて自公が苦境に立たされた場合、財政拡張的な野党の政策を受け入れざるを得ず財政が悪化するとの懸念から、「海外勢が円売りを進めてくる可能性が高い」(為替ブローカー)との警戒が広がっている。特に投開票日は20日と3連休の「中日」に当たり、選挙明けの21日は株式市場などが休場となる一方、為替市場は海外勢を中心に取引が行われることになるため、選挙直後の反応として注目が集まっている。
ニッセイ基礎研究所主席エコノミストの上野剛志氏は、衆院だけでなく参院でも自公が過半数割れとなれば「政権運営が厳しくなり、野党の主張が通りやすくなる」と指摘する。財政がより拡張的になり、財政懸念が高まることで「いったん円安に振れる」見通しで、その後は政局や財政の行方を見定めようと政治関連で思惑が揺れる展開を予想する。
一方、過半数を維持した場合は「これまで過半数割れのシナリオで円が売られてきた部分が剥落し、現状比で円高に振れる」としている。
衆院選を前に、これまで積み上がってきた円買いの縮小は進んだものの、一段安の局面を見据え「積極的に利益を取りにいくポジションが積み上がっているわけではない」(国内金融機関の為替ディーラー)との見方も聞かれる。参院選の結果判明後、新しい政権の枠組みや財政の行方、円金利の動向などを踏まえ、さらに円売り方向にポジションを傾ける参加者が増えれば、円安が一段と加速する可能性もある。
参院選以外の日程では、国内で23日に日銀の内田真一副総裁が高知県金融経済懇談会に出席するほか、25日は7月の東京都区部消費者物価指数が発表される予定。
国外では、24日に欧州中央銀行(ECB)の理事会が行われる。「金利据え置きで早期の利下げも示唆しないとみられるが、市場に利下げ観測も残っているためユーロ高/ドル安となり、対円でもドルの上値を抑える」(ニッセイ基礎研の上野氏)見通しだ。
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