ロシア軍の前進は9月も低調、ドネツク州全体の年内占領はほぼ不可能
ロシア軍が戦場で前進するスピードは2026年に入って急減し、ウクライナ人とロシア人が報告したロシア軍の前進=占領面積の増加率は9月も低調に終わり、現在のペースで2026年中にドネツク州全体を手に入れるのはほぼ不可能、2027年中にドネツク州全体を手に入れるのも難しいだろう。
参考:DeepState Приріст окупованих територій за вересень склав 66 кв км, але рано робити висновки 参考:Black Bird Group According to our data, in August the net gains of the Russian armed forces in Ukraine were approximately 133km² 参考:Сливочный каприз Динамика территориальных изменений в зоне проведения СВО в сентябре 2026 г.
ウクライナにおけるロシア軍の前進は昨年と比べて大幅に低下し続けており、ウクライナ人が運営する情報分析グループ=DeepStateは6月1日「ロシア軍は5月に完全な失敗を喫し、これは戦線の大部分で戦略的攻勢作戦を開始した2023年10月以降、占領地域の面積増加率が最小だったことを意味する」「敵が5月中に占領した領土は僅か14平方キロメートルだった」「ウクライナ軍の前進状況については作戦上の安全を確保するため意図的に遅らせてマップに反映している」「そのため具体的な数字は出せないがロシア軍の占領地域の純増面積は2023年10月以降、初めてマイナスに転じた月になったと断言できる」と報告。
出典:DeepState
DeepStateは7月1日「ロシア軍が6月に獲得した占領地域の面積は84平方キロメートルだった」「ウクライナ軍が同時期に奪還した土地の広さに関してまだ公表できない状況(作戦上の機密)だが、先月に奪還した土地の面積を加味すれば敵の純増面積は2ヶ月連続でマイナスになる計算だ」「ただし、その差は僅かである」と報告し、フィンランドのBlack Bird Groupも6月「我々のデータによると5月のウクライナにおけるロシア軍の純増面積は約82平方キロメートルだった」と、7月「我々のデータによると6月のウクライナにおけるロシア軍の純増面積は約マイナス9平方キロメートルだった」と報告。
ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARは同等のデータを提供していないためDeepStateやBlack Bird Groupの報告と比較するのは不可能だが、視覚的証拠の位置情報をまとめているロシア人ミルブロガーのСливочный капризも占領地域の純増面積が昨年と比べて大幅に減少していると報告しており、観測者によってロシア軍が占領したウクライナ領土の面積や純増面積の数字は異なるものの、これらに共通するのは「ロシア軍の勢いが昨年と比べて大幅に減少している」という傾向だ。
出典:Black Bird Group
Black Bird Groupは9月5日「我々のデータによると8月のウクライナにおけるロシア軍の純増面積は133平方キロメートルだった。ロシア軍の前進は再びゆっくりと増加しているものの、その前進は依然として極めて限定的で昨年とは大きく異なる。特にウクライナ軍がリマン方面で成功を収めたためロシア軍の前進は限定的なものとなった。ロシアがドネツク地域を占領するという目標を達成できる可能性は依然として低い」と報告。
DeepStateは10月3日「9月に占領された面積は66平方キロメートル増加したが、まだ結論を出すのは時期尚早だ。ウクライナ軍の進捗状況に関する情報は遅れて提供されている。最近の更新情報に含まれるほとんどの地域(アレクサンドリフカ、クピャンスク、リマン周辺)は5月や6月、一部は7月や8月のものであり敵の進捗状況を正確に把握することが困難だ。これから7月から9月に達成された前線での成功、少なくとも270〜320平方キロメートルに及ぶ解放地域の発表が控えている。恐らく7月もウクライナが優位に立った月になるだろうし、8月と9月の実態については戦果の公式発表が行われる時点で明らかになる」と報告。
出典:DeepState
要するにウクライナ軍は戦場での成功=どこまで前進しているのかを敵に教えないため極めて厳格な情報統制を実施しており、現在のウクライナ軍は国旗を掲げる写真を撮影してすぐに公開するのを辞め、DeepStateも戦場での成功をある程度は把握しているものの「ウクライナ軍が公式に発表するまでマップへの反映を控えている」という意味だ。
Сливочный капризも10月1日「客観的なデータによると9月末時点でロシア軍が支配する地域は177.1平方キロメートル増加した」と報告し、ここでも各観測者の数字は一致しないが「ロシア軍の勢いが昨年と比べて大幅に減少している」という傾向だけは共通し続けている。
出典:Сливочный каприз
ロシア軍や露国営メディアが主張するハルキウ州のレズニコヴォ包囲網やザポリージャ州のオレホボ包囲網は今のところ視覚的に裏付けられておらず、前線の状況が思わしくなくなったときに発動する壮大なプロパガンダか、百歩譲っても成功の前借りである可能性が高く、仮にレズニコヴォ包囲網やオレホボ包囲網が事実ならСливочный капризの集計数値がこんなことになるはずがない。
ちなみにロシア軍が2025年の1年間と2026年9月30日までに前進した範囲を視覚的に比較すれば、ロシア軍の停滞具合がより鮮明になり、特に2026年はウクライナ軍が奪還した領土の範囲が多いため、占領した領土面積の増加率はさらに低くなる。
出典:管理人作成
出典:管理人作成
まだ2026年は3ヶ月ほど残っているため最終的な着地点がどこになるのかは分からないが、現在のペースで2026年中にドネツク州全体を手に入れるのはほぼ不可能で、2027年中にドネツク州全体を手に入れるのも難しいと思われ、プーチン大統領が再び強制動員に踏み切る可能性があると噂されるのもそのためだ。
ただし、ウクライナ軍が2026年に戦場で収めた成功も局地的な戦術的勝利に過ぎず、この戦争の行方を左右するような決定的な戦略的勝利からはウクライナ軍もロシア軍も程遠く、2026年の戦いを現時点で総括するなら「戦いの激しさは維持されているのに社会的な回復力を上回る打撃を双方とも達成できず、互いの後方地域が燃えても前線の膠着感はより酷くなった」といったところだろう。
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