空腹感を軽減しながら筋肉量を維持する減量薬が開発される

サイエンス

痩せ薬や肥満治療薬は、しばしば吐き気などの副作用をもたらします。こうした症状を回避し、満腹感を生じさせることで減量を促す薬「SYNT-101」が開発されました。

Syntis Bio Releases New Data Supporting Potential of SYNT-101 as a Once-Daily Oral Treatment for Obesity at European Congress on Obesity and Weight Management

https://www.businesswire.com/news/home/20250410377442/en/Syntis-Bio-Releases-New-Data-Supporting-Potential-of-SYNT-101-as-a-Once-Daily-Oral-Treatment-for-Obesity-at-European-Congress-on-Obesity-and-Weight-Management

Biotech firm creates weight loss pill that mimics the effects of gastric bypass surgery | TechSpot https://www.techspot.com/news/107527-biotech-firm-creates-weight-loss-pill-mimics-effects.html シンティス・バイオが開発したSYNT-101は、小腸上部に一時的なコーティングを形成し、満腹感を生じさせるホルモンが活性化される小腸下部に栄養を誘導する薬です。薬を服用すると、ドーパミンと過酸化水素という2つの主要成分が小腸内でカタラーゼと作用し、ポリドーパミンとして知られる膜を形成します。この膜が小腸上部を覆い、約24時間持続した後、自然に排出されます。 このメカニズムにより、満腹感を促進して体重減少をサポートすると同時に、体重から体脂肪を除いた重さを指す除脂肪体重、体脂肪以外の筋肉、骨、内臓などの重量を維持することができるとされています。

近年ではオゼンピックやウゴービのような「GLP-1」ホルモン受容体に作用する肥満治療薬が広く使われていますが、注射が必要で、しばしば吐き気などの副作用を伴います。一方でSYNT-101は1日1回投与の錠剤であり、より自然な食欲調節ホルモンの分泌を促すと言います。 げっ歯類を用いた前臨床試験において、SYNT-101は除脂肪体重を100%維持しつつ、6週間にわたって1週間あたり1%の一貫した体重減少を示したとのこと。 ヒトでの試験においても、被験者は同じく週平均1%の体重減少を記録したほか、カロリー摂取量の10%減少、空腹時血糖値の8%低下を示しました。シンティス・バイオは「特筆すべき点は、除脂肪筋肉量が研究期間中完全に維持され、有害事象は認められなかったことだ」と記しています。試験中は、空腹ホルモンであるグレリンのレベルが低下し、食欲を調整するレプチンのレベルが上昇するという、有望なホルモンの変化も明らかになりました。組織サンプルからは、体内で膜が予想通りに形成され、1日以内に安全に除去されることが確認されたとのことです。

シンティス・バイオの臨床アドバイザーを務めるルイス・アロンヌ医師は、「現在のGLP-1薬の大きな落とし穴は、体重減少に伴う除脂肪体重の減少と、副作用があることです。SYNT-101は、これらの問題を完全に回避できる可能性があります」と指摘しました。 シンティス・バイオによると、2025年後半に治験許可申請書を提出し、その後すぐに第1相臨床試験を開始する予定とのことです。

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