「自分も殺していた可能性がある」服役中の元少年が証言、“闇バイト”が一線を超える瞬間(弁護士ドットコムニュース)
犯罪への入り口は、驚くほど身近にあるようだ。 少年時代に起こした強盗事件で実刑判決を受け、現在も服役中の20代男性Aによると、SNSで特定のハッシュタグを付けて投稿すると、向こうから接触してくるという。 「ポイントはハッシュタグで、『即日現金』『借金返済』『日払い』『高額報酬』『借金に困ってます』『リゾートバイト』等々、他に投稿数の多いタグを付ければ付ける程、ホワイト〜ブラックまで誘いが来ます。DMでやり取りしてシグナルかテレグラムでという話になったら100%犯罪です」 家庭環境に恵まれない子どもは少なくない。しかし、10代で借金を抱えるような生活自体が、いつ犯罪に巻き込まれてもおかしくない環境だといえるのかもしれない。 Aは「ずっと犯罪をしていると捕まりやすいので、普段は日雇いでしのいで、たまにハイリターンの仕事をこなしていた」と振り返る。
栃木の事件では、強盗が殺人へと発展した。 強盗殺人罪の法定刑は「死刑または無期拘禁刑」。死刑を科されない少年事件であっても、最大で無期拘禁刑という極めて重い処罰が待っている。 Aの事件では被害者が亡くなることはなかったが、その差は紙一重だったという。 「自分も殺してしまう可能性はありました。逆に自分が殺さなくても共犯がやってる可能性がありました。もしあの時(共犯者が)蹴りを入れた時に(被害者が)頭を打っていたら、などと考えると、冷やっとします」 一方で、Aは「殺したら無期か死刑と知っていたので、ものすごく手加減しました」とも語った。 Aのケースでは、長年の付き合いがある相手と2人で犯行に及び、事前に「けがはなるべくさせないようにしよう」と話していたという。 「人を殺してしまう時というのは、集団で歯止めが効かなくなった時で、理性を効かせているなら人を殺す可能性は低いと思っており、人を殺さない自信がありました。 相手(共犯者)も長い付き合いで、一声掛ければどんだけ感情がハイになっていても、理性が効く人間だったので、その点も大丈夫だと思っていました。正直、知らない人と実行役をするのは自分が怖くて出来ません」 見知らぬ者同士が集められた場合、犯行中に「歯止め」が利かなくなり、暴力がさらにエスカレートする危険性もある。
Page 2
被害者も加害者も生まないためには、どうすればいいのか。 Aは「正直メディアがどれだけ発信しても、やってしまう人はいると思う」と語り、その現実を前提にした対策の必要性をうったえた。 「(闇バイトに)応募して情報を抜かれた時に相談できる公的な窓口が、警察以外の民間NPOであるとよいかなと思います。あと、闇バイトの募集の時点で、リクルーターをつかまえるべきだと思います」 自身や家族の個人情報を握られた本人にとって、警察へ相談するハードルは高い。「自分も犯罪に加担しかけている」という恐怖があるからだという。 Aはさらに、こう付け加えた。 「闇バイトだけでなく、シャブとかバツ(*編集部注:合成麻薬「MDMA」を指す隠語)とかも普通に売ってるじゃないですか?まず最初に、ああいうのをつぶしていくべきだと思います。でも、今それができてないということは難しいですよね」 今日もSNS上では、「高額案件」「即日現金」「ホワイト案件」といった投稿が並んでいる。 *この記事は、記者がこれまで元少年の受刑者に取材してきた内容をもとに作成しました。
弁護士ドットコムニュース編集部