【なぜ】「日本で大地震」デマ拡散で香港からの訪日客が急減 福岡名物の店でも影響が 気象台「現在の科学では予知できない」

ことし5月に日本を訪れた外国人の数が18日に発表され、5月としては過去最多を更新しました。そんな中で唯一、「香港」からの訪日客だけが減っています。原因の一つには、根拠のない「あるウワサ」がありました。

九州の空の玄関口、福岡空港国際線です。■橋爪直人ディレクター「大きいスーツケースを持った人たちが、続々と出てきました。」ロビーには、多くの外国人が行き交う光景が広がっていました。ところが今、「あるウワサ」の拡散で香港からの観光客だけが減っているというのです。福岡国際空港によりますと、香港便の一部も減便しているといいます。香港から到着した人に話を聞きました。■香港から来た人「ウワサで7月に日本の東京・大阪などの大都市に大きな地震がある。」そのウワサのきっかけとされるのが、日本のマンガ『私が見た未来 完全版』です。初版は1999年で、作者が見た予知夢などの内容が書かれています。■中村安里アナウンサー「大災害は2011年3月と書かれています。」作者は、夢の中で東日本大震災を予知していたと注目されました。そして、今回ウワサになったのが次の一節です。『日本列島の南に位置する太平洋の水が盛り上がる。その災難が起こるのは2025年7月です』あくまで夢の中の話で、科学的根拠はありません。さらに、香港の著名な風水師が「この夏に日本で大地震・大津波が起きる」と発言し、SNS上で拡散されました。

5月の訪日外国人数で唯一、香港だけが11.2%も減った理由について、日本政府観光局は「日本で地震が発生するという情報がSNSなどで拡散されている」と分析しています。

福岡市の飲食店にも影響が出始めています。県内に15店舗を展開する「元祖もつ鍋 楽天地」では、訪れる人の半数が外国人観光客です。そのほとんどが韓国、香港、台湾からの人なのですが。■元祖もつ鍋 楽天地・水谷崇社長「6月に入って、ちょっと減っているなと思っています。今、アジアで日本が地震に飲み込まれるみたいなデマが流れている。心配しているところです。」インバウンド需要で好調でしたが、6月の売り上げは、想定より15%ほど減少しているといいます。■香港からの観光客「多くの人が知っています。そして多くの人が日本には行かない。7月はとても危険です。」■水谷社長

「デマなのでであまり気にせずに、元のように博多名物もつ鍋を食べに来てくれたらうれしいなと思っています。」

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