NASA、気候変動報告書をオンラインに公開せず–「法的義務はない」(UchuBiz)
数年ごとに作成される米国政府の気候評価報告書が米航空宇宙局(NASA)のウェブサイトに掲載されないことになった。海外メディアのSpace.comが報じている。 NASA報道官のBethany Stevens(ベサニー・スティーブンス)氏は、「データを公開する法的義務はない」と述べている。「連邦議会に報告書を提出したことで、その法的要件を満たした」 これにより、米国全土の気候変動リスクと影響を追跡する報告書「国家気候評価(National Climate Assessment:NCA)」への一般市民のアクセスが難しくなる。NCAはほぼ10年に2回発行され、米国全土の気候変動の影響に関する分析を提供する。 過去の報告書は米海洋大気庁(NOAA)のオンライン記録からアクセス可能だが、公式となる米国地球変動研究プログラム(U.S. Global Change Research Program:USGCRP)のウェブサイトはダウンしたままだ。 次回のNCAは2028年に公表される予定だが、その将来は不透明だ。次回の報告書に取り組んでいた数百人の科学者が、今年4月にTrump(トランプ)政権によって解任された。 NCAは第41代大統領Bush政権下の1990年に制定された地球変動研究法(Global Change Research Act:GCRA)に基づく取り組みであり、地球規模の変化の現在の傾向を分析し、25~100年後の主要な傾向を予測する報告書。 GCRAはNCAを大統領と連邦議会に報告することを義務付けている。同法では、連邦政府が13の連邦機関と省庁が協力してUSGCRPを通じてNCAを作成する責任を負っていると明記している。 7月初旬にNCAを掲載するウェブサイト(globalchange.gov)が閉鎖。NASAは当初、GCRAに基づいてNCAを保管、公開することを明らかにしていた。しかし、7月14日にNASAは計画を中止したことを明らかにした。
塚本直樹