トランプ氏、インドに25%の追加関税-米ロ協議で事態打開せず

米ホワイトハウスは6日、トランプ大統領がインドからの輸入品に対して25%の追加関税を課す大統領令に署名したと明らかにした。インドがロシア産エネルギーを購入していることへの措置だという。

  大統領令によれば、今回の関税は25%の国別関税に上乗せされ、21日以内に適用される見通しだ。これにより、対インド関税は2倍の50%となる。

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  この発表の数時間前に行われたウクライナでの戦争を巡る米国とロシアの協議は、即時の打開策は見いだせずに終わった。インドのモディ首相は、米国から不当に標的にされていると訴え、ロシア産石油の輸入は経済を支えるうえで不可欠だと主張するが、トランプ氏には響いていない。

  トランプ氏は5日のCNBCのインタビューで、インドについて「戦争マシーンに燃料を供給している。インドがそうし続けるのなら、自分は不満だ」と語っていた。

  インド外務省の報道官は6日、トランプ氏の発表を「不公平であり、不当かつ不合理だ」と非難、政府は「国家の利益を守るために必要なあらゆる措置を講じる」と述べた。

政権1期目に握手を交わすトランプ米大統領とモディ首相(2020年2月25日、ニューデリーで)

  米国とインドは数カ月に及ぶ交渉を続けたが、通商合意には至らなかった。その後、トランプ氏はインドへの態度を硬化させ、一方的に25%の国別関税を発表した。同氏はインドが米国製品に対するアクセス緩和を拒んでいると非難、主要新興国グループ「BRICS」への加盟も批判している。インドは、自国の農業および酪農産業を保護するため、とりわけ農産物の輸入拡大には消極的だ。

  トランプ氏の関税表明は、インドを中国に対する地政学的な対抗勢力として育てたいとの米国の長年の外交目標と真っ向から反している。これは、トランプ氏が政権1期目にモディ首相と良好な関係を築いていた時期からの大きな方向転換となる。

  また、ロシアとウクライナの停戦仲介に向けた取り組みが進展していないことにも、トランプ氏は不満を示している。同氏は8月8日までに停戦に応じるようロシアに求めており、応じなければ制裁を科す可能性があると警告している。さらに、ロシア産エネルギーの購入を思いとどまらせるため、購入国に対していわゆる「二次関税」の適用も辞さない構えを見せている。

  ロシア大統領府によれば、プーチン大統領とウィトコフ米特使の6日の協議は「シグナルのやり取り」にとどまった。

  ウシャコフ大統領補佐官(外交政策担当)は記者団に対し、「われわれからは、特にウクライナ問題について幾つかシグナルを伝えた」と述べたが、詳細には言及しなかった。「トランプ大統領からのシグナルも受け取っている」とも付け加えた。

  約3時間に及んだ協議について、ウシャコフ氏は「有益かつ建設的」で、米ロ関係の今後の展望も協議の対象になったと説明した。今後の対応は、ウィトコフ氏によるトランプ氏への報告を待って判断すると述べた。

原題:Trump Doubles India Tariff to 50% to Punish Russian Oil Buying (抜粋)

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