ウォール街、目まぐるしい相場展開に混乱-トランプ氏は株価気にせず
- トランプ氏は強気相場や景気さえも犠牲にするのをいとわない様子
- 「さらに20%下落する可能性もあると考え始めている」と専門家
11日の取引開始30分後の米株式市場は前日の強い売りから落ち着きを取り戻し始めていた。だがトランプ大統領が自身のソーシャルメディアプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」への投稿で貿易摩擦を巡りカナダ非難を展開すると、再び市場は動揺し、株価は下落へと向かった。
ハリス・フィナンシャル・グループのマネジングパートナー、ジェイミー・コックス氏は貿易戦争から誰もが目を離せない状況について「顧客にとって厄介なことだ」とコメント。「市場はトランプ大統領がはったりを言っているとみていたが、われわれはその困難を今経験している」と話した。
トランプ氏の政権2期目が始まってからわずか50日で、新たな現実が浮かび上がってきたと考えられる。1期目で株式市場を自身の成功の指標としていた同氏は、今回は気にしていないということだ。
同氏は実際、米国にとって何十年も不利に作用してきたと主張する世界秩序の見直しに向け、強気相場を犠牲にするのもいとわないように見受けられる。短期的には経済成長自体についても、そのように考えているように映る。
スティーフル・ニコラウスの株式トレーディング・グローバル責任者、R・J・グラント氏は、「指導者らは移行期間について語り、人々は非常に不安になっている」と指摘。「再び成長が改善する前にさらなる痛みを伴いそうだ」と話した。
トランプ氏はソーシャルメディアへの投稿やテレビへの出演を通じ混乱に満ちた形で計画を打ち出し、相場は絶えず目まぐるしく変動している。
11日も同様だ。ロシアとウクライナの戦争が停戦に向かう可能性から株価が持ち直したころ、トランプ氏は数時間前に発表したカナダへの関税引き上げについて、見直していると述べた。
アカデミー・セキュリティーズのマクロ戦略責任者、ピーター・チア氏は11日の不安定な相場を一時的なものとは捉えておらず、「世界金融危機や欧州債務危機のように扱っている」と言及。「少し持ち直す機会があるとはみているが、ここからさらに20%下落する可能性もあると考え始めている」と語った。
警戒感は市場で徐々に広がっており、投資マネーは米短期国債や公益株、生活必需品株など景気減速時にアウトパフォームする傾向のある安全資産に向かっている。
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