「指もなかったんや…」右足がなく、左足は先天性内反足のわが子。産後にわかったさらなる事実。それでも「子どもは想像を超えてくる」医師の言葉に励まされ。(たまひよONLINE)
2018年に結婚し、2021年から軽バンで日本一周の旅をしながら夫婦でYouTube配信を始めた「けんじとあかり」さん。結婚7年目にして、あかりさんが双子を妊娠。そして、妊娠19週のスクリーニング検査で、双子ちゃんのうち第2子となるお子さんに右足欠損と先天性内反足の障害があることがわかりました。あかりさんはその後、双子妊娠であること、双子ちゃんのもう1人の成長が妊娠30週ぐらいからゆっくりになったこともあって、妊娠34週で管理入院。そして、待望の出産を迎えました。 「妊娠38週で、出産は予定帝王切開でした。第1子のゆーちゃんは1814g、第2子のきーちゃんが2158gと小さめだったので、2人とも出産当日はNICU(新生児集中治療室)に入りました。 先に生まれたゆーちゃんは、呼吸が少し不安定だったので別の処置室にすぐ連れて行かれてしまい、私はしばらく会えなくて、あとに生まれたきーちゃんのほうを先に私のもとに連れて来てもらいました。 初めて見るわが子がきーちゃんだったんですが、きーちゃんを見てまず『かわいい!』って思いました。双子あるあるなのかもしれませんが、妊娠中のエコーでも重なり合っちゃって、顔が全然見えなかったんです。だから、まず『かわいい!こんな顔してたんや!』って思いましたね。 実は正直なところ、妊娠中は、右足のないわが子を見てちゃんとかわいいと思えるのだろうか…という不安があったんです。だけど、生まれたきーちゃんを見て、きーちゃんの右足を含めて、無条件にちゃんとかわいいって思えました。妊娠中は不安なこともたくさんありましたが、生まれたきーちゃんの姿を見た瞬間に、これからの不安が吹き飛んでいった感じがしたんです。 そしたら、看護師さんが『右足、触りますか? 』って言ってくださって。『いいんですか? 』と言って触ったら、思っていたよりやわらかくて。太ももができる部分にちょっと丸いのがついてる状態で、やわらかくて気持ちいい!って感じ。そして、その瞬間に『ママってこんな気持ちなんやなぁ~』って母性本能がすごく出たような気がしました。 生まれたてってまだ血もついてるし、新生児ってちょっとむくんでて、言い方悪いんだけど、そんなきれいな状態ではないと思うんですが、もうめちゃめちゃかわいい!って思いました。 ただ、けんじはせっかくいちばん最初に2人を抱っこできる権利を与えたのに、生まれた直後のきーちゃんを触れず…」(あかりさん) 「僕、実は血が得意じゃなくて…。あかりの産後すぐ、医師の話を聞いている途中で、体調が悪くなっちゃったんです。本当は産後すぐに2人とも抱っこできるって話だったんですけど、ゆーちゃんを抱っこしていたら気分が悪くなって…。 なので、産後すぐのきーちゃんの足を触ったりすることはできなかったんですが、しばらくしてからきーちゃんの右足を見て、無事に生まれてきてくれて、今まで見られなかった部分を見ることができて、『こうなってたんや』ってすごくすっきりしました」(けんじさん) 妊娠中は、きーちゃんの右足欠損と先天性内反足以外のことは「生まれてみないとわからない」と医師に言われていたけんじさんとあかりさん。生まれてからの検査の結果、内臓には問題はなく、当初からわかっていた右足欠損と先天性内反足に加えて、右手の小指が欠損し、左手の薬指が短く、また一部の指がくっついた状態であることが判明し、絞扼輪症候群(こうやくりんしょうこうぐん)※と診断されました。 ※指や腕などにひもで縛ったようなくびれがあったり、複数の指がくっついていたりするもので、指が欠損している場合も。赤ちゃんがおなかにいるときに、体に羊膜(ようまく)の一部が絡まることが原因で起こると考えられています。 「あかりの産後処置の間に、まずは僕だけが医師から指の欠損について簡単に説明を受けました。でも、妊娠19週のときに右足がないということはわかっていたんで、『今後も何かあるかもしれないし、外見からはわからない心臓や内臓とかに障害があるかもしれないな』ってずっと思っていて、そういう心の準備もできていたんです。だから、実際に医師から知らされたときは『あ、指もなかったんや』くらいの感覚でした」(けんじさん) 「私は、病室に戻って面会したときに聞いたんですが、私も本当にいい意味で何も思わなくて。『あ、そうなんや』くらいで、そこまでの衝撃はなかったです。心の準備がある程度できていたし、生まれてすぐの元気に泣く姿を見ているので、ポジティブな気持ちで、すっきりした感じでしたね。 なんなら、そういった障害のない、ゆーちゃんのほうが心配で。ゆーちゃんも元気そうに見えたんですが、明らかに小さかったし、『呼吸がちょっと弱いから補助します』といわれてチューブにつながれていたので、大丈夫かな…と」(あかりさん) 結局、第1子のゆーちゃんは小さかったのと、呼吸が少し不安定だったのとで、24日間ほど入院に。第2子のきーちゃんは検査のため、1日だけNICUに入りましたが、手足の障害以外には問題なしということがわかり、翌日にはNICUを出て母子同室をスタート。あかりさんときーちゃんは一緒に退院することもできました。