二転三転のトランプ関税、米銀利益損ねる-ウォール街のベテラン想定

Georgie McKay

  • マイク・メイヨー氏、全体的に利益予想を平均4%引き下げ
  • 長期的には楽観的な見方を維持-大規模な規制緩和推進を期待

ウォール街のベテラン、マイク・メイヨー氏は今年、米国の銀行に対する強気の見方を変えていない。だが、トランプ政権の通商政策が二転三転していることが短期的に米銀の利益を損ねるとみている。

  ウェルズ・ファーゴのアナリストである同氏は3月27日、政策の不透明感から企業見通しを立てるのは難しいと指摘し、全体的に利益予想を平均4%引き下げた。

  トランプ政権の発足で2025年に企業の合併・買収(M&A)が増えるとの見方もあったが、トランプ大統領が仕掛ける貿易戦争や地政学的対立という厳しい現実を突き付けられた市場は動揺している。

  米経済やインフレへの影響を巡り不安が渦巻く中で新規株式公開(IPO)は期待外れで、銀行勢にとって利益率の高いM&Aは減速。そのため、メイヨー氏は投資銀行業務や融資、債券価格評価、引当金についてより保守的な見方をするようになっている。

  同氏によれば、「政策の不確実性がわれわれの常識を試している」という。KBW銀行株指数は今年1-3月期に5%以上の下落となる方向で、そうなれば23年3月の米地方銀行危機時以来の大きな落ち込みだ。

  ただ、メイヨー氏は、大規模な規制緩和が今後推進されると期待し、長期的には楽観的な見方を維持。「資本市場の回復は遅れているものの、完全に消滅したわけではないと引き続き考えている」とコメントした。

  個別行では、シティグループとJPモルガン・チェースを有望視。特にJPモルガンは「市場で代表的な役割を果たしていることを踏まえると、ボラティリティーから恩恵を得るはずだ」とみている。

原題:Mike Mayo Sees Policy-Induced Paralysis Stinging Bank Earnings (抜粋)

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