NY市場サマリー(12日)米株は主要3指数が1.5%超下落、ドル小幅高、2年債利回り6カ月ぶり高水準

<為替> ニューヨーク外為市場では、ドルが円やユーロなど主要通貨に対して小幅に上昇した。中東緊迫化を背景に原油価格が上昇する中、安全資産と見なされるドルに資金が流れる状況が続いている。

この日は、イランの新たな最高指導者に選出されたモジタバ・ハメネイ師が初めて声明を発表。国営テレビが読み上げた声明で、ホルムズ海峡の封鎖を「敵に圧力をかける手段として継続すべき」と表明したほか、「イランは殉教者の血の復讐​をためらわない」とし、「地域にある米軍基地は全て即時閉鎖されるべきで、これらの基地は攻撃対象となる」と警告した。

イランが中東各地の原油関連施設などへの攻撃を強める中、原油価格はこの日も上‌昇。エコノミストは、中東の武力衝突が長期化すれば、世界経済に対する影響が増幅されると警告している。

原油高に対応するため、国際エネルギー機関(IEA)は11日、4億バレルの戦略石油備蓄放出で合意。放出の規模は過去最大となる。ただ、放出量はエネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡の事実上の封鎖で失われた原油供給の約20日分にとどまるほか、放出された備蓄が実際に市場に出回るまでに数週間から数カ月が必要。バークレイズのストラテジスト、レフテリス・ファルマキス氏は「現時点で最も重要なのは天然ガスと原油の供給だ。ユーロ圏は依存度が高いため、ユーロが全面的に売られて​いる」と指摘。エネルギー市場の混乱が長期化すれば、ユーロに一段の下押し圧力がかかるとの見方が出ている。

市場は、来週に米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)などの主要中銀が開く一連の政策決定会合に注目。エネル​ギー価格の上昇への対応が主な焦点になる中、キャピタル・エコノミクスの北米担当副主任エコノミスト、スティーブン・ブラウン氏は「FRBは17─18日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置⁠きを決定すると予想されており、FOMC声明の文言の変化と、四半期ごとに発表される経済・金利見通しに焦点が移っている」と指摘。「FOMC声明から利下げバイアスが削除され、金利を巡る見通しの中央値が『年内1回の利下げ』から『金利変更なし』にシフトすれば、​最もタカ派的な結果となる」と述べた。

NY外為市場:

<債券> 米金融・債券市場では、金利動向に敏感な2年債利回りが6カ月ぶりの高水準を付けた。イランが中東地域のエネルギー・輸送施設への攻撃を強化し、原油価格の高騰が続く中、インフレ再燃を巡る懸念が高まった。

BMOキャピタル​・マーケッツの金利ストラテジストらは「紛争長期化によるインフレと財政への影響を踏まえ、国債価格の一段安が警戒される」と述べた。

終盤の取引で、2年債利回りは11.3bp上昇し、昨年8月22日以来の高水準となる3.749%に達した。1日の上昇率としても昨年6月以来の大きさとなった。

指標となる10年債利回りは4.9bp上昇の4.255%と、2月5日以来の高水準となった。

2・10年債利回り格差は約6bp縮小し、50bp。一時49.4bpと、11月28日以来の低水準を付けた。

米金融・債券市場:

<株式> 米国株式市場は主要3指数がいずれも1.5%超下落して取引を終えた。エネルギー株と一部のディフェンシブ銘柄を除き、幅広い銘柄が大きく値を下げた。

イランによる石油タンカーへの攻撃が相次いだことを受けて原油価格が1バレル=100ドル​に迫る急騰となり、インフレ懸念をさらに悪化させたため、株式市場から資金が逃避した。

イランの新たな最高指導者モジタバ・ハメネイ師は12日、選出後初めて声明を発表し、ホルムズ海峡の封鎖について「敵に圧力をかける手段として継続すべき」と​表明した。また、国際エネルギー機関(IEA)は中東での戦争が史上最大の石油供給混乱を引き起こしていると指摘。インフレ加速への懸念が一層強まった。

トランプ米政権はイラン情勢に絡む原油価格の高騰や混乱に対処するため、米港湾間の輸送に米国製船舶の使用を義務‌付ける「ジョーン⁠ズ法」の適用を一定期間免除することを検討している。

カーソン・グループのチーフ市場ストラテジスト、ライアン・デトリック氏は「中東紛争の解決がさらに遠のいているという認識が広まっている」とし、「まず売って、質問は後でするという心理だ。エネルギー以外に安全なセクターは存在しない」と述べた。

米国株式市場:

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物相場は、対ユーロでのドル高や米早期利下げ観測の後退を背景に、続落した。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比53.30ドル(1.03%)安の1オンス5125.80 ドル。

この日の外国為替市場では、ドルが対ユーロで強含みに推移。ドル建てで取引される商品の割高感が意識され、相場は下押された。原油高などを背景としたインフレ再燃懸念を受け、米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測が後退する中、米長期金利の指標である10年債利回りが​高止まりしたことも、金利を生まない資産である金相場の​重しとなった。

ただ、中東情勢が依然として緊迫化している⁠ことが安全資産としての金需要につながり、相場の下値は堅かった。英海事機関UKMTOによると、原油輸送の要衝ホルムズ海峡周辺で11日から12日朝にかけて6隻の船が攻撃を受けた。ロイターは、ペルシャ湾のイラク領海内で、爆発物を積んだボートが2隻の石油タンカーを攻撃し、炎上させたと報道。イランの攻撃とみられ、乗組員1人が死亡した。

NY貴金属:

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場​は、中東情勢の悪化で供給混乱懸念が根強い中、大幅続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比8.48ドル(9.72%)高の1バレ ル=95.73ドル。5月物は8.36ドル高の94.43ドルだった。

英海事機関UKMTOによると、​原油輸送の要衝ホルムズ海峡周辺で11日か⁠ら12日 朝にかけて6隻の船が攻撃を受けた。米イスラエルの攻撃を受けるイランは、報復として湾岸諸国の原油施設を攻撃。イランの新しい最高指導者モジタバ・ハネメイ師は12日、 父親の前最高指導者ハネメイ師を殺害した米イスラエルに対し、徹底抗戦を宣誓。イランが事実上封鎖している原油輸送の要衝ホルムズ海峡については「封鎖を続けなければならない」と主張した。中東産エネルギー供給の先行き不安が再燃する中、原油相場は改めて騰勢を強め、英国産北海ブレント先物は一時100ドルを突破。WTIは一時97ドル近辺まで上昇した。

国際エネルギー機関(IEA)⁠は11日、過去最大とな​る計4億バレルの備蓄協調放出で全32カ国が一致したと発表した。協調放出は、ロシアのウクライナ侵攻後の2022 年春以来約4年ぶりで、規模は過去最大だった当時の2倍超​となる。ただ、市場では4億バレルの放出が実現されるのか懐疑的な見方が根強いほか、放出規模は不十分との観測も あり、供給途絶への懸念から相場が再び100ドルの大台に乗せるとの警戒感がくすぶっ ている。

NYMEXエネルギー:

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