準優勝だった日大三 選手20人、記録員が試合後に語った言葉

2025年8月23日16時30分

 (23日、第107回全国高校野球選手権大会決勝 沖縄尚学3―1日大三)

 日大三は一回、1死二塁から本間の適時二塁打で1点を先制した。

 沖縄尚学は直後の二回、2死二塁から阿波根の左越え二塁打で同点に追いつき、六回は2死二塁から宜野座の左前適時打で1点を勝ち越し。八回は2死二塁から宜野座の中越え二塁打で加点した。

 投げては先発の新垣有が8回途中1失点の好投。エース末吉も無失点で締めくくった。

 準優勝が決まった試合後、取材に応じた日大三の監督、ベンチ入り選手20人、記録員の言葉を紹介する。

■三木有造監督

 「投手陣はよく3点に抑えてくれた。願わくばもっと打線が点をとってくれれば。相手先発の高めに浮いていた変化球を積極的に打ちにいってほしかった」

 「それでもよく決勝まで来られた。甲子園に来た時と比べて、こんなに成長するのかと思うほど、すごい生徒たちになった」

■近藤優樹投手(3年、背番号1)

 「いろんな感情を表情に出してマウンドに立ってきたのは、自分の気持ちを奮い立たせて、周りを鼓舞するためだった」

 「決勝で負けたことはもちろん悔しいけど、やりきったと胸を張って言える」

■竹中秀明捕手(3年、背番号2)

 「打線が成長して、振り負けないチームになった。粘り強く、追い込まれてからも打つ。いいところは見せられたと思う。仲が良く、上下関係もなく、どんなことでも言い合える。最高のチームだった」

 「甲子園に来られたのは一生の思い出。甲子園は、夢を与えてくれた最高の場所だった」

■田中諒一塁手(2年、背番号3)

 「新垣有投手、末吉投手のどちらが先発してきても、打ち勝つつもりだった。新垣投手に対しては直球を力強いスイングでとらえるつもりだったが、相手が全てすごかった」

 「今度は自分たちの代の力で甲子園に出場し、沖縄尚学と決勝で対戦して、打ち勝ちたい。やるしかない」

■桜井春輝二塁手(3年、背番号4)

 「この大会、チームは精神的に成長した。今日も最後まで誰一人諦めていなかった。沖縄尚学の応援はすごかったが、それも自分たちの力に変えることができた」

 「(敵失で出塁した)九回の打席は、絶対これで終わらせないという気持ちだった。一塁にヘッドスライディングし、セーフになった瞬間、『後は頼んだぞ』という思いだった」

 「練習でやってきたことの全てを出し切れたと思う。やり切った。悔いはない」

■安部翔夢三塁手(3年、背番号5)

 「打ち勝っていこうと臨んだ試合。相手投手をなかなか打ち崩せない中、なんとか守りで粘って好機を待った。投手陣が頑張ってくれたのに、野手が打ち切れなくて、負けてしまった」

■松岡翼遊撃手(3年、背番号6)

 「勝っても負けても最後なので、試合前から全員で、笑顔でやろうと話していた。2度ミスしてしまったけれど、ずっと笑顔でやってやろうという気持ちでした」

 「一つ一つ勝とうとやってきた。今日の決勝もいつもと変わりなく、『勝っても次がある』ぐらいの気持ちで試合に入れ、と監督から言われていた」

 「自分たちもここまで来られるとは思ってなかった。この決勝という舞台は、自分たちと沖縄尚学の2校しか味わえなかったと思うので。本当に最後、この舞台で終われて良かった」

■嶌田大翔左翼手(3年、背番号7)

 「(左翼の守備は)沖縄尚学のアルプス席の歓声の大きさが、今まででダントツだった。勝てなかったことは悔しいが、ここまで来られたし、やりきった、という充実感がある」

■本間律輝主将・中堅手(3年、背番号8)

 「甘い球を狙って、適時打を打てた。何とか結果を出したかったので、うれしかった。それでも相手は強かった」

 「日本一にはなれなかったが、最後の試合を甲子園でできて幸せだった。主将として大変なこともあった。それでも仲間あっての自分。みんなには感謝を伝えたい」

■松永海斗右翼手(3年、背番号9)

 「最初は自分たちに勢いがあった。自分も思いきったプレーをしようと意気込んで、(一回に)生還できたのは良かった」

 「春以降、打撃を鍛えてきただけに、一番打者として悔しい。でもこんな大きな舞台で、こんなにたくさんの観客が見ている中でプレーできた。それを忘れないようにしたい」

■川上幸希選手(3年、背番号10)

 「自分の持っているものをすべて出し切れた。悔しいけど、悔いはない。常に味方を鼓舞するしかできなかったけど」

 「(春は背番号1だったが)与えられた自分の仕事を全うしようと、いつでも行ける準備はしていた。でも、投げたかった。悔しい思いは抑えて、精いっぱい応援した」

 「甲子園はいいところだなって。(後輩には)来年もまたこの舞台に帰ってきて、いい結果を残してほしい」

■山口凌我投手(3年、背番号11)

 「楽しかったし、悔しかった。(救援登板は)2イニングを抑えられて、流れを持ってこられたと思う」

 「甲子園で投げるために練習してきた。マウンドに立つことができてよかった」

■田中将大選手(3年、背番号12)

 「チーム全員が力を出し切った。自分はブルペンや練習で投手のボールを受け続けてきた。継投の準備をするという役割をやり切れたと思う」

 「地方大会を含め、今年のチームはリードされる展開が多かったが、最後まで諦めなければ何とかなるということを学ばせてもらった。正直つらかったり、辞めようと思ったりしたこともあったが、みんながいてくれたから最後までやり切れた」

■永野翔成選手(3年、背番号13)

 「(九回に代打で遊ゴロ併殺。最後の打者に)初球の変化球を狙っていた。いい感触で『よしっ』と思ったのに、正面に行ってしまった。自分が打っていれば、勝てた試合。打っていれば、いいバッターにつなげられたのに」

 「甲子園は夢の舞台。楽しくもあり、後悔も残ってしまうけど、とてもいいところだった」

■古関健人選手(3年、背番号14)

 「自分たちの打撃ができなかった。相手投手が、想定していたレベルより変化球のキレがよかった。(先取点の場面は)1点しか取れなかった。すぐに追いつかれて、焦りが出てしまった」

■根本智希選手(2年、背番号15)

 「準決勝で先発させてもらい、全国で通用する部分と、改善しなければいけない点の両方が分かった。思い切り内角を突く直球は甲子園でも通用したが、スライダーは甘く入ると打ち返された。秋の大会につながる登板ができてよかった」

 「甲子園のマウンドは不思議。他の球場は登板前に緊張していると緊張したままだが、甲子園はマウンドに立った瞬間、楽しいという気持ちしか湧いてこない。来春の選抜大会に出場し、今日の借りを返したい」

■前川凌太選手(3年、背番号16)

 「決勝の甲子園の雰囲気は、準決勝までの甲子園と全く違った。観客の雰囲気に圧倒される感じだったが、最後は思い切ってグラウンドに立った。みんなと一緒に決勝まで野球ができたことは財産」

 「昨秋はメンバーに入れず、悔しかった。投手から野手に転向し、チームに代走や守備固めがいない状況を見て、それを自分がやりたいと思ってやってきた。高校野球を通じ、考える力がすごく付いた」

■石井寛也選手(3年、背番号17)

 「負けた時はすごく悔しかった。でも今、ちょっと気持ちが落ち着くと、甲子園の決勝で野球をできたのはすごい幸せだった」

 「このチームにはめちゃくちゃすごいスーパースターはいなかったけど、みんなで束になってやってきたから甲子園で準優勝できた。誇れることだと思う」

■谷津輝選手(3年、背番号18)

 「(決勝で先発マウンドに立ったが)先発って最も人から見られる立場だと思う。もっと緊張すると思ったけど、いざマウンドに立つと楽しくて、いい気持ちだった。だから、特別なことはしなくていいと思って投げた」

■豊泉悠斗選手(3年、背番号19)

 「悔いはない。(八回裏の代打の場面は)左腕の投手が出てきたので、自分が打席に入った。次打者の竹中にも『絶対つなぐから』と声をかけて打席に向かった」

 「(試合終了後は)涙が止まらなくて。最後まで諦めていなかったので、悔しかった。勝って帰りたかったので悔しかったが、このメンバーでここまで来られて、1試合でも多くできて良かったなと思う。代打で打てなくても『次打てばいいよ』って言ってくれる仲間だった。感謝の言葉を伝えたい」

■福井理仁選手(1年、背番号20)

 「この高校に入学してまだ4カ月。勉強させてもらった夏だった。先輩方はすごくカッコよくて、憧れの存在。自分も先輩たちのようになりたい。3年生が流した涙を、これから自分たちが笑顔に変えていきたい」

 「先輩と過ごす時間はすごく濃かったし、とても多くのことを教えてもらった。本当に感謝している」

■末永友海映記録員(3年)

 「いろんなことがあったけど、このメンバーと野球部で過ごせたということに、甲子園での準優勝という結果までついてきた。人生の幸せの9割以上を日大三高野球部でもらえたと、今は思っている」

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