角田裕毅「おそらく大半の人が知っている」来季去就について意味深発言、”プランBなし”で運命のカタールGPへ

レッドブル・レーシングの角田裕毅が、2025年F1第23戦カタールGPを前に自身の将来について口を開いた。多くを語らない一方、その発言は謎めきつつも、現状を色濃く示唆するものだった。

レッドブルは今週末のカタールGP終了後に、マックス・フェルスタッペンの来季チームメイト、そして姉妹チームであるレーシング・ブルズのドライバーラインナップを最終決定する見通しとなっている。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

最終フリー走行前、ファンステージで観客に手を振るマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)と角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年11月21日(金) F1ラスベガスGP(ラスベガス市街地コース)

渦中の角田に対し、決定に向けた話し合いは既に行われているのか、自身の将来について気にしているかという質問が飛んだ。角田は「いいえ、特には」と否定しつつも、含みを持たせた。

「知っていることもありますが、もちろんそれは話せません。ただ、おそらくは、ほとんどの人が知っていることなのかなとも思います」

大半の人が知っていること――レッドブルの来季シートのことなのか、それともレーシング・ブルズを含めたラインナップ全体のことなのか、あるいは自身が公に話せないということそれ自体なのか——角田の言葉は様々な解釈を許すものだった。

「なので、何と言えばよいのか、、知っている事という点に関しては、実は僕も皆さんとあまり変わらない状況です。どうなるか分からないので……そうですね、様子を見るしかないです」

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パドックへ到着する角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年11月27日(木) F1カタールGPメディアデー(ロサイル・インターナショナル・サーキット)

また、レッドブルのシートを確保できなかった場合の「プランB」の存在についても問われたが、角田は「いいえ、特には」と返し、目の前のレースに集中する姿勢を強調した。彼は、自身のパフォーマンス次第で状況を変えられると信じている。

「このレースのことだけを考えています。まだ決まっていませんし、自分の走り次第だと思っています」

「できる限りマックス(フェルスタッペン)をサポートしたいと考えています。もしそれが達成できれば、自然と僕の将来にもプラスになるはずです」

「今はそれだけを目指しています」

パドックでは長らく、アイザック・ハジャーがレッドブルへ昇格し、レーシング・ブルズの1席にはアーヴィッド・リンブラッドが収まるとの見方が濃厚で、角田はリアム・ローソンとレーシング・ブルズの残り1席を争う立場にあると考えられている。

ラスベガスの「納得できない」一件

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フルウェット・タイヤを履いて水しぶきを上げる角田裕毅のレッドブルRB21、2025年11月21日(金) F1ラスベガスGP予選(ラスベガス市街地コース)

前戦ラスベガスGPでは、予選まで好調を維持しながらも、Q1敗退という憂き目にあった。この原因についてチーム代表のローラン・メキーズとヘルムート・マルコは、タイヤの内圧設定にミスがあったと謝罪しているが、角田は今も厳しい姿勢を見せている。

「予選直後には何が起きたのか分かっていました。ローラン(メキーズ)が言ったように、タイヤの内圧に関する問題です。ですが……正直、あれは納得できません」

「かなり大きな問題でしたが、起きてしまったことは変えられません。聞いた時はかなり驚きました。いずれにせよ、予選までは順調でした」

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クラッシュした角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年5月17日(土) F1エミリア・ロマーニャGP予選Q1

また、イギリスの専門メディア『Crash.Net』によると、角田はレッドブルで過ごした今シーズンを振り返る中で、唯一後悔している出来事としてエミリア・ロマーニャGP予選でのクラッシュを挙げた。

この一件を機に、角田はマシンスペックの面でフェルスタッペンに遅れを取る状況が続いた。ただし、完全に同一仕様ではないとはいえ、新しいアップグレードが投入された際には随所で速さの片鱗を見せてもいた。

「後悔は特にありませんが、あえて言えばイモラでのクラッシュだけです」と角田は語った。

「あのクラッシュによって、その後かなり後退した部分があったと思います。なので、その一点だけですね」

「レッドブルへ行くという自分の決断に後悔はありませんし、そのおかげでより強くなれたと思っています。ただ、イモラでのクラッシュだけは、大きなミスだったと感じています」

マックスの逆転劇を援護へ

去就、そして前戦についてはポジティブな発言がなかったが、カタールGPへの展望を問われると、角田は前向きに答えた。ロサイル・インターナショナル・サーキットはラスベガスとは全く特性が異なるコースだが、自信をのぞかせる。

「昨年を振り返ると、レッドブルはここでかなり良い結果を残していますし、僕らはセットアップとパッケージの面で幾らかパフォーマンスを引き出せています」

今週末、角田に課されたミッションは明確だ。それは自身のパフォーマンスを発揮し、逆転のチャンピオンシップに「オールイン」するフェルスタッペンを援護することにある。

「特に今回はスプリント予選を含むフォーマットなので、スムーズかつ柔軟に対応しなければなりません。ですが、僕らは良いパフォーマンスを発揮できると思います」

「そして今、チームにとって最も重要なのは、マックスがタイトル争いに本格的に復帰したという点です。僕もできる限りサポートできればと思っています」

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角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年11月27日(木) F1カタールGPメディアデー(ロサイル・インターナショナル・サーキット)

カタールGPは、角田にとって最後のアピールの場となる可能性が高い。最終的にどのような決断が下されるのかは正式発表まで分からないが、一つだけ確かなことがある。それは、角田が今週末に全てを賭けているということだ。

カタールGPは11月28日(金)の日本時間22時30分から始まるフリー走行1で幕を開ける。角田裕毅の運命を決める週末が、始まる。

F1カタールGP特集

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