若手3人の首位争いをフルモーがリード。タイトル候補者らが苦戦、出走順の影響大か【デイ2レポート】
ラリー/WRC ニュース
Text : autosport web
11月27日(木)、中東サウジアラビアで2025WRC世界ラリー選手権の第14戦『ラリー・サウジアラビア』のデイ2が行われ、スペシャルステージ(SS)2~8を終えてヒョンデ・シェル・モービスWRTのアドリアン・フルモー(ヒョンデi20 Nラリー1)が総合首位に立った。日本の勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合6番手につけている。
WRCとしては初の開催となるラリー・サウジアラビアはジェッダを拠点とし、砂漠や山岳、岩場など多様なグラベル(未舗装路)でのステージが待ち受ける。チャレンジングな展開が開幕前から予想され、さらには2025シーズンの最終戦に位置付けられたことで王座が決まる1戦としても注目を集めている。
タイトルを争うのはTOYOTA GAZOO Racing WRTのエルフィン・エバンス、セバスチャン・オジエ、カッレ・ロバンペラの3名。シェイクダウンではロバンペラがトップタイムを刻み、同日夜間に行われたスーパーSSではオジエが2番手につけるなど、緊迫したタイム争いとともにラリーは開幕した。
しかし、本格的に砂漠でのタイムアタックが始まったデイ2からは状況が一変。グラベルラリーの特徴である、出走順が早い選手ほど路面の掃除役としてタイムを失ってしまう展開が顕著に表れることとなり、先にコースインしていく選手権上位勢は軒並みタイムが伸び悩む展開となった。
そんななか、19.36kmのSS2と20.12kmのSS3で連続ステージウインをあげたのはマルティン・セスクス(フォード・プーマ・ラリー1)。Mスポーツ・フォードWRTのスポット参戦組として2025年シーズンを戦っている若手が才能を発揮してみせた。
次いで負けじと11.33kmのSS4ではサミ・パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー1)トップタイムを刻んで応戦していく。二人の争いにヒョンデ・シェル・モービスWRTのアドリアン・フルモー(ヒョンデi20 Nラリー1)も加わり、午前ループ後のトップ3はセスクス、フルモー、パヤリの順で僅差の戦いとなった。
首位争いの一方で、砂の路面に隠れた岩によるタイヤダメージも多く散見され、SS2ではジョシュ・マッカーリーン(フォード・プーマ・ラリー1)、SS3ではティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)、SS4ではロバンペラがスローパンクチャーやタイヤ交換作業でタイムロス。また、エバンスやセスクスがルートミスによって若干のタイムを失う場面も見られた。
午後ループでも出走順の影響はそこまで変化せず、SS5でセスクスがふたたびトップタイムをマーク。続いたパヤリも午前よりリズムをつかんできた様子で、総合順位で2番手に上がってくる。
そしてSS6で首位争いに動きが出た。セスクスは好調そのままにステージ序盤からタイム差を開いていったものの、終盤でパンクに見舞われることに。最終的に16.8秒のタイムロスとなり、首位に浮上したパヤリがルーキー対決の主導権をついに手にした。
ただ、SS7ではそのパヤリのタイヤにもダメージが生じ、トップタイムのタナックから13.5秒差のタイムに。早くも総合首位の座を失い、リスクを抑えながら走行していたフルモーがラリーリーダーとなった。
この日20時31分からは、デイ2最後のステージとしてスーパーSSを再走し、オジエがトップタイムをマーク。総合首位はフルモーが守り、6.0秒差でパヤリ、その0.9秒後ろにはセスクスが追う状況だ。王座を争う3名は総合7~9番手にとどまっており、最前の位置はオジエ、37秒差でロバンペラ、4.1秒差でエバンスという順位でデイ2は終了した。
大会折り返しとなるデイ3はSS9~14までの6本が行われる予定で、ステージの総距離はデイ2よりもさらに長くなる。砂漠での戦いは、デイ3でさらに険しい局面を迎えることとなりそうだ。
デイ2終了時点で総合2番手につけたサミ・パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2025年WRC第14戦ラリー・サウジアラビア
デイ2終了時点で総合3番手につけたマルティン・セスクス(フォード・プーマ・ラリー1) 2025年WRC第14戦ラリー・サウジアラビア
鈴木南美すずきなみ
2025年 / スーパー耐久 Hitotsuyamaレースアンバサダー