アウェイの地で炸裂したロペス弾とクリーンシート。 今のマリノスができる最善の形での勝利だ [ACLEラウンド16 上海海港戦レビュー]
流れの中から複数の決定機
中国の地でマリノスをけん引したのは、またしても植中朝日だった。
局面でのフィジカル勝負で一歩も怯むことなく戦い、むしろこちらから体をぶつけていく力強さを見せる。低い重心で相手選手をブロックし、やすやすとマイボールを失わない。攻撃の起点となっただけでなく、ファウル誘発の回数が増えるのは当然だ。
ずっと足を止めないのもストロングポイント。トップ下の位置だけでなく、両サイドへ、そして相手ディフェンスラインの背後へ。縦横無尽に動き回り、相手守備陣にとって厄介な存在になっていく。
献身的な動きが結果として実ったのは30分のこと。右サイドの高い位置に侵入した松原健のパスに反応して相手の背後を取る。体を上手に使いながらペナルティエリア内へと潜り込み、マイナスパスを送る。惜しくも相手にカットされたが、こぼれ球を待ち受けていたアンデルソン・ロペスが頭でねじ込んだ。
自らが起点となって追加点を奪えるチャンスもあった。後半に入ってからの60分、中央でボールを受けた植中は自身で狙うこともできた状態から、あえて周りの味方を使う。右サイドのヤン・マテウスへラストパスを通したが、シュートは相手GKにセーブされてしまった。得点につながらずとも、視野の広さや余裕を感じさせる背番号14のワンプレーだった。
チームとしては2点目を奪えるシーンはほかにもあった。終盤の85分、途中出場の天野純のクロスにエウベルが頭で合わせる。その直後にはまたしても右サイドのポケットに流れた天野のクロスから、今度はロペスがヘディングシュート。いずれもゴールネットは揺れなかったが、流れの中から複数の決定機を作れたことは大きな収穫だ。
危険なカウンターを食らう場面は皆無
攻撃面で一定の手応えを得たのは大きな収穫だが、この試合で最もフォーカスすべきはクリーンシートを実現した守備だろう。
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