ベネズエラ・マドゥロ大統領逮捕に向けて米国が本格始動
米国はベネズエラのマドゥロ大統領を逮捕するため、当初は報奨金として2500万ドルを提示していたが、最近になって5000万ドルに引き上げた。
ホワイトハウスは今月19日、約4,000人の兵士を乗せた3隻の駆逐艦をベネズエラ近海に派遣したことを明らかにした。さらに潜水艦や偵察機も同行していると説明している。
麻薬ルート遮断とマドゥロ大統領の逮捕が狙い
米国政府の目的は、ベネズエラを経由して米国に流入する麻薬ルートを遮断し、その中心人物とされるマドゥロ大統領やカベーリョ国民議会議長らを逮捕して米国の法廷で裁くことにある。
ベネズエラから流入する麻薬は、軍人によって構成された麻薬組織「カルテル・デ・ロス・ソレス(Cartel de los Soles)」の活動に起因している。麻薬はコロンビアから持ち込まれ、この組織を実質的に率いているのがマドゥロ氏とカベーリョ氏だとされている。
実際、米国麻薬取締局(DEA)はすでにこのルートから30トンのコカインを押収したと公表している。また、昨年7月の大統領選でマドゥロ氏が不正により3選を果たしたことも内部告発により明らかとなっており、大統領としての正統性はないとされている。
米国政府は、自国に麻薬が流入する被害を防ぐ観点からも、正当性を欠く政権を打倒することは国際的に問題ないと主張している。
マドゥロ大統領とカベーリョ氏一族の亡命未遂
米国はこれまでもマドゥロ政権の打倒を試みてきたが、いずれも失敗に終わっている。しかし今回の動きに対しては、ベネズエラ政権も強い脅威を感じている様子がうかがえる。
その兆候が見られたのは今月19日だった。チャベス前大統領の主導で設立された国営航空会社コンビアサ(Conviasa)の航空機が、同日夜にカラカス空港を離陸しキューバに向かった。だが、ハバナ上空を4度旋回した後、結局カラカスに戻った。着陸できなかったのは、米空軍の偵察機ポセイドンP-8が阻止したためとされている。
この情報はYouTube番組「カスティリョン・コンフィデンシャル」で明らかにされたもので、司会者アルベール・カスティリョン氏によると、ペンタゴンに近い情報筋からのものだという。この航空機には、マドゥロ氏とカベーリョ氏の家族、さらには政府高官が搭乗していたとされる。
カスティリョン氏は、マドゥロ氏が今後コロンビアやブラジルとの国境から国外に脱出する可能性を指摘しており、特にブラジル経由の可能性が高いとしている。さらに同番組では、マルコ・ルビオ国務長官がベネズエラ軍に米国の意向に賛同するよう呼びかける映像も紹介されている。
今年こそ、マドゥロ独裁政権が崩壊し、ベネズエラが民主化への道を歩み始めることが期待される。