「ここで死にたい」年金で暮らせる!シニア向けマンション 豊富なアクティビティーも
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シニアの方々の、理想の「終(つい)の住処」とは?
今、注目されているシニア向けマンション生活を追跡しました。
マンション内で生活完結!?クリニックにATMも
年金生活者の「シニア向けマンション」での暮らしとは、一体どんなものなのでしょうか?
まず訪れたのは横浜市。最寄りの駅から徒歩10分ほどの「中銀ライフケア横浜・港北」。現在約500人が住む、築37年のシニア向けマンションです。
ここに住んでいるのは75歳の真藤さん。真藤さんは1LDK59平米の部屋で一人暮らしをしています。以前は一軒家で母親と娘の3人で暮らしていました。母親を看取った後、借金返済のために家を売り、余った資金でこの部屋を約1450万円で購入しました。
そんな真藤さんの生活を見せてもらいました。
午前9時半、朝からどこかへ出掛ける真藤さん。ついて行ってみると、皆さんビリヤード場に集まっていました。ビリヤード台などの施設はすべて使えるそうで、真藤さんは週に3回、住民たちと楽しんでいると言います。
そもそもシニア向けマンションとは、自立した高齢者を対象とした分譲マンションのことで、入居には年齢制限があります。物件は購入しますが、毎月施設を使うための料金を払うことで、様々なサービスを受けることができるんです。
実は、物件によっては格安で購入できるものもあり、資産として残せるのも人気の理由です。
真藤さんは約7万円の施設管理費を毎月支払っています。
ビリヤードを楽しんだ足で、真藤さんがそのまま向かったのは食堂。今度は同じマンションに住む友人とランチを楽しみます。この日のメニューはシーフードドリア。
ここでは自炊もできますが、住民は必要な分だけお手頃な価格で食事を提供してもらえるんです。ランチを終えた真藤さん、どこかに向かうようです。
真藤さんが開けたドアには「医院」の文字が。マンションの中に医療施設があるというのでしょうか?
実はマンションの敷地の一角に医院があり、内廊下を使えば外に出なくても通院できるのです。他にも、暮らしていくうえで必要なATMや売店も。
さらに、住民が亡くなった時にも葬儀が行える部屋など、万が一に備えた施設も完備されているんです。
ここで暮らしていくためには、どれくらいの費用がかかるのか?真藤さんに1カ月の収支を聞いてみると。
真藤さんの年金受給額は月9万円ほどですが、このマンションの施設管理費は約7万円。さらに携帯代や光熱費などを支払うと毎月赤字になってしまうので、少しずつ貯蓄を取り崩して生活をしていると言います。それでも、ここでの生活は充実しているという真藤さん。
続いて真藤さんがスポーティーな服装で向かったのは太極拳。ゆっくり汗を流すこと1時間半、夕食は食堂ではなく自分の部屋で。このように部屋で食べたい時は事前に伝えることで、食事をお重に入れてもらうことができるのです。
夕食の後、今後の暮らしについて本音を聞いてみると、このような答えが返ってきました。
では、今後の暮らしに不安はないのでしょうか?
健康第一ではありますが、あと20年生きると、貯蓄から捻出している毎月の生活費で金銭面での不安が出てくると心配します。
中銀ライフケアのシニア向けマンションは人気の別荘地・熱海にもあります。熱海駅から車で8分。その物件は?
施設の管理費は横浜より少し安いうえに大浴場があり、そのお湯はなんと温泉です。熱海という土地柄、別荘として購入した後に手放すケースがあり、部屋がきれいなままお手頃な価格で買える物件もあるんです。
年金の範囲内で暮らせるという人気のシニア向けマンションは、千葉市にも。
2010年に完成した千葉市にある「スマートコミュニティ稲毛」です。東京ドーム3個分ほどの敷地に7棟のマンションや施設があり、900人以上が住む日本最大級のシニア向けマンションです。
何よりこの施設がシニアに大好評だという理由は、100種類以上あるアクティビティー。施設利用料を支払うことで、すべて自由に参加できるんです!
こうしたアクティビティーが行われていたのは、施設内のクラブハウスと呼ばれる建物。そば打ち体験が行われていました。
さらに屋外でも。徒歩圏内に併設されているグラウンドにはゴルフ練習場やテニスコートがあり、施設利用料とは別に月に各990円で使い放題なんです。
クラブハウスの中で行われていたのは書道教室。2時間みっちり外部からの講師に教えてもらうことができ、これも施設利用料に含まれているんです。
この書道教室に参加していたのは、このマンションで暮らす70代の石崎さん。書道教室の後は、新聞を読むことが日課だそう。
本や雑誌の他にもクラブハウスの中にはジムもあり、すべて使い放題なんです。書道教室に参加していた石崎さんのお部屋にお邪魔しました。
夫がおととしに他界。2人で住んでいた家を売却し、念願のこのマンションに越してきたそうです。
石崎さんが購入したのは1K33平米のコンパクトな部屋。値段は550万円でした。
このマンションでも自炊は可能で昼食は各自になりますが、朝夕は食事のサービスが受けられます。
住み始めて1年半の石崎さん。ここでの暮らしに、まだなじめていないそうです。
こちらは一人暮らし用の小さめの部屋でしたが、住居のタイプには種類があり、夫婦2人で住んでいる、真鍋さん(82)のお宅は1LDK70平米で約2500万円。
真鍋さん夫婦も、以前に住んでいた家を売ったお金でこちらの部屋を購入しました。
なぜこのシニア向けマンションは、一般的なマンションなどよりも安く購入できるのか。その理由は立地にあるといいます。
都心から車で1時間ほど。最寄り駅の稲毛駅からもバスで20分ほどかかりアクセスはちょっと不便です。
さらに、アクティビティーなどが行なわれているクラブハウスにも秘密がありました。
そして石崎さん始め、住民が毎日楽しみにしているというのが夕食です。
全部で種類が15種類ほどあり、この日に石崎さんが選んだのは酢豚でした。
朝・夕用意される食事は豊富なメニューから選べ、1カ月毎日食べても3万円ほど。有名ホテルで修行を積んだシェフが、健康を考えたメニューを提供しているんです。
そして夜になると、どうしても気になるのが施設のセキュリティー。このシニア向けマンションでは24時間体制でスタッフが常駐しているだけでなく、各部屋には人感センサーを設置。在宅中12時間以上、室内で動きがないとフロントのアラームが鳴る安心のシステムになっているのです。
月々の利用料はかかりますが、石崎さん今後に不安はないのでしょうか?
会社員として定年まで働いていた石崎さん、厚生年金で月に17万円ほどを受給しています。
しかし、食事を含む施設利用費約10万円に加え、その他の生活費で年金のほとんどを使い切っていると言いますが、今、金銭面での不安はないと言います。
基本的には、シニア向けマンションは自立した方を対象としているため、介護が必要になった時が不安だと言います。
「(Q.ここで死にたいですか?)ですね…。他にうつるとまたお金の心配しないといけないでしょう?」
終の住処に選んだシニア向けマンション。そこでは老後の生活を楽しむ住民たちの姿がありました。