ウクライナ、燃料19億ユーロ購入必要-ロシアが冬を控えガス施設攻撃

Ewa Krukowska、Natalia Drozdiak、Daryna Krasnolutska、Alberto Nardelli

  • ロシアの大規模攻撃で国内ガス生産の約60%が停止-関係者
  • 冬季に厳しい寒さに見舞われるウクライナにとって、ガスは不可欠

ロシアによる最近の攻撃で、ウクライナ国内の天然ガス生産の半分以上に影響が及んでいる。戦争で疲弊するウクライナは迫る冬を乗り切るため、燃料輸入に19億ユーロ(約3370億円)を支出せざるを得ない可能性が高い。

  ウクライナ政府は今週、ハルキウ、ポルタワ両州を3日に狙ったロシアの大規模攻撃で国内ガス生産の約60%が停止したと同盟国に伝えた。非公開情報だとして匿名を条件に関係者が明らかにした。

  ロシアの全面侵攻前、ウクライナのガス関連インフラは国内需要を賄えていた。ロシアは今年、ミサイルや無人機による攻撃を強めている。

  こうした攻撃が続けば、ウクライナは来年3月末までに年間消費量のほぼ20%に相当する約44億立方メートルのガスを購入する必要が生じ、費用は20億ユーロ近くに達すると関係者は説明した。

  ウクライナは、エネルギーシステムの修復に必要な機材の提供を主要7カ国(G7)に緊急要請。エネルギーインフラ防護のための防空システム拡充という従来からの要望も改めて伝えた。必要なガス輸入の支払いに充てる資金援助も求めている。

  ゼレンスキー大統領は6日、「ロシアはわれわれがガスを採掘できないよう、あらゆることをするだろう」とキーウで記者団に語った。ロシアが「あらゆる手立てを尽くすため、すべてを守るのは難しい。国民にガスを行き渡らせるため、ガスを輸入する資金を確保するのが課題だ」と述べた。

  冬季に厳しい寒さに見舞われるウクライナにとって、ガスは不可欠で、家庭の暖房はほぼ全面的にガスに依存している。ロシアは2022年2月にウクライナに対する戦争を始めて以降、ウクライナ国民の士気をそごうと、冬ごとにエネルギーインフラを標的としている。

  ウクライナ国営エネルギー会社ナフトガスはコメントを控えたが、同社のセルヒー・コレツィキー最高経営責任者(CEO)はリンクトインへの投稿で、G7側と「生産的」な会合を持ち、国際通貨基金(IMF)や他のパートナーとも協議したと明らかにした。

  同CEOによれば、「パートナーは極めて複雑な状況を理解している」という。

原題:Russian Strikes Knock Out More Than Half Of Ukraine’s Gas Output (抜粋)

— 取材協力 Elena Mazneva

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