2025年秋アニメに「電波人間タックル」が登場? 半世紀前のヒロインが「電波投げ」で原典超えの破壊力

2025年10月にアニメ化されて話題を集めている『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』の第2話で、初代女性戦士「タックル」が登場しました。元ネタは『仮面ライダーストロンガー』で活躍した女性キャラクターですが、彼女は往年のファンに強烈な印象を残しています。

TVアニメ『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』ビジュアル (C)柴田ヨクサル/ヒーローズ・Tojima Rider Project (C)石森プロ・東映

 2025年秋アニメの中でも注目を集めている『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』(以下、東島ライダー)は、仮面ライダーを愛しすぎる大人たちによる本気の「仮面ライダーごっこ」を描いた作品で、往年の『仮面ライダー』ファンを中心に注目を集めています。2025年10月11日深夜に放送された第2話「私はタックル」では、さっそく新しいキャラクターが活躍して注目を集めました。

 それが『仮面ライダーストロンガー』に登場した「電波人間タックル」に変身(コスプレ)する女性教師「岡田ユリコ」です。担当声優の茅野愛衣さんは、『戦姫絶唱シンフォギア』の暁切歌、『ソードアート・オンライン アリシゼーション』のアリス、『デリシャスパーティ?プリキュア』の菓彩あまね/キュアフィナーレなど、これまでも戦う女性も演じていました。

 そういった経験から、キレのある戦闘シーンを見せたユリコの演技だったわけですが、本作に登場するキャラに特有の、どこかズレた部分ももっています。原作マンガで大きな注目を集めたキャラですので、これからの活躍も期待できるでしょう。

 タックルへの注目度は、往年のライダーファンでない限りはピンと来ないかもしれません。しかし『ストロンガー』放送当時、タックルは女性ヒーローとして画期的な存在でした。

 タックルは本来なら「仮面ライダータックル」となる予定だったのです。しかしTV局側の「仮面ライダーはひとりでいい」という判断から、そうはなりませんでした。もし実現していれば、タックルは初の女性仮面ライダーになっていたのです。

 しかし『ストロンガー』では実質的には仮面ライダー的な立場となり、強烈な印象を残したことから、その後も何度かリメイクされて登場することとなります。

 たとえば劇場版『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』では「岬ユリコ/電波人間タックル」というキャラにリブートされ、配信作品『仮面ライダージャンヌ&仮面ライダーアギレラ withガールズリミックス』では「黒江ユリ子/電波人間ブラックタックル」などが登場しました。

 さらにオマージュとして、劇場版『仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGA MAX』の「美咲撫子/仮面ライダーなでしこ」も挙げられるでしょう。『ストロンガー』作中で明確に「死亡」したキャラだったので、タックルは後続作品では別の姿で登場することになるわけです。


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ストロンガーのパートナーとして第1話から活躍した電波人間タックル/岬ユリ子の退場激は、視聴者に強い印象を与えた。画像は、タックルが左下に描かれる『仮面ライダーストロンガー』Vol.2 DVD(東映ビデオ)

 タックルといえば、その最期を描いた『ストロンガー』第30話「さようならタックル!最後の活躍!!」を忘れてはいけません。アニメ『東島ライダー』でもこの話題が触れられ、ユリコがタックルとなるきっかけとなりました。この第30話の放送は1975年10月25日。奇しくもこの10月で放送から半世紀を迎えることになります。

『東島ライダー』はあくまで仮面ライダーを愛する大人たちを描く物語なので、『ストロンガー』のタックルとはデザインが大きく変わっている点に注目が集まるのは仕方ありません。しかし、それ以上に大きく変わったのはタックルの必殺技「電波投げ」でしょう。

 本来の電波投げは、両腕を交互に上下させ、電波エネルギーで相手に触れることなく投げ飛ばす技です。これは、タックルこと「岬ユリ子」を演じた岡田京子さんが、殺陣(たて)に慣れていなかったことから考案されました。ところが『東島ライダー』で再現された電波投げは、「原典」を超える破壊力といわざるを得ません。主人公「東島丹三郎」の「ライダーパンチ」や「ライダーキック」に匹敵する凄味が感じられます。そこが同作の見どころのひとつといえるでしょう。

 今後も、仮面ライダーをリスペクトしたキャラが次々と登場するようですが、アニメならではの演出がどのような表現になるのか、期待しながら視聴したいと思います。

(加々美利治)

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