漢方薬を使用した「コロナ後遺症」治療が岡山大学で研究進む 治験に参加した患者の女性の感想は…【岡山】
体がだるい、何もやる気がおきない…新型コロナウイルスに感染した後に一部の患者で続く、「コロナ後遺症」。いま、コロナ後遺症の治療に漢方薬を使う研究が岡山大学病院で進められています。 (岡山県内に住む40代女性患者)
「熱は5日で治まって、せきは1か月以上続いていた。仕事の後の疲れがずっと抜けない」 岡山大学病院に2021年2月に開設された「コロナ・アフターケア外来」。倦怠感や頭痛、睡眠障害などが続く「コロナ後遺症」を専門に診療していて、5月末までに1145人が受診しています。 人によって、訴える症状は様々ですが、最も多いのは倦怠感で、約6割に上ります。岡山大学病院は、ある漢方薬に着目し、コロナ後遺症に苦しむ患者を対象に、有効性を検証する臨床研究を2024年12月から始めました。 (岡山大学病院 徳増一樹准教授)
「こちらが試験薬となっていてひとつは補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、もうひとつはプラセボ薬(臨床試験用の偽薬)。これらは補中益気湯に含まれているカンゾウ・ニンジン・タイソウ・ショウキョウ、他にも含まれている成分はあるが代表的なものがこれら」 補中益気湯。体力が弱っている、元気がない、疲れやすいなどの症状がある人に使われる、伝統的な漢方薬です。 (岡山大学病院 徳増一樹准教授)
「複数の医師が診療している中でもコロナ後遺症の体のだるさに対しては補中益気湯が有効である可能性が一番高いのではと着目して研究を始めた」 岡山県内に住む40代の女性は2024年12月に新型コロナウイルスに感染したあと、長引く倦怠感やせきに悩まされ、2025年2月から治験に参加しました。 (40代女性患者)
「劇的な変化はないが、次に病院に来た時にアンケートに答えたら、前より疲れにくくなっている、寝起き良くなったと。しんどくて何もやる気が起きなかったのが、最近そこまで悩まなくなった。徐々に実感した」 臨床研究の対象となるのは1カ月から半年前に新型コロナウイルスに感染し、倦怠感が続く18歳以上の患者です。紹介状は必要ありませんが、3回の受診などが必要で、試験薬は6週間服用します。現在、14人が治験に参加しています。 (40代女性患者)
「今回の薬はそこまで苦くなく、そんなに抵抗もなく飲めた。他の病気で薬を内服しているので漢方は副作用が少ないので安心して飲めた」 まだ確立した治療法がないコロナ後遺症。今回の研究が一筋の光となるのか、期待されます。 (岡山大学病院 徳増一樹准教授)
「選択肢の一つとして漢方薬が科学的に有効であることを示すことができれば、より多くの人の症状が良くなる、それに貢献できるのではないか。科学の発展の一歩に貢献できればという思いがある」
岡山大学病院は、2027年3月までに研究結果を公表することにしています。