「阪神よりも10億円多かった」巨人のオファーを蹴った大山悠輔の85打席目にして生まれたプロ入り“最遅1号”が3連勝を呼び込む(RONSPO)

 待ちに待った“虎の新5番打者“の今季1号が勝負を決めた。  延長10回一死走者無しの場面で横浜DeNAのマウンドには6人目の山崎康晃。大山が過去17打席立ち、1本のヒットも打てていない天敵だった。  フルカウントから外角低めへのストレートがシュート回転してボール一個分甘く入ってきた“失投”を大山が見逃さなかった。打球はレフトスタンドの最前列へ。それが決勝点となった。  試合後、バスへ向かう駐車場を報道陣を引き連れて歩いた大山は「スコアラーさんと話をして狙い球の準備ができていた」という話をしていた。  延長10回のベンチでは、今季から横浜DeNA担当となった古里スコアラーからチャート表を見せてもらい熱心に説明を聞いている大山の姿があった。 「苦しんだらストレート」のデータが大山の頭に残っていたのかもしれない。  開幕から20試合、85打席目の1号は、プロ入り9年目にして最も遅かった。昨年も1号は、75打席目と苦しんだが、今年はさらに苦しんだ。  ヒーローインタビューではその胸のうちを吐露した。 「ここまでチームのみんなに助けられてきましたし、ここで何とか今度は自分がチームを助ける番になりたいと思っていたので、その一打が打てて良かったです」  そしてこうも続けた。 「1日1日なのでチームが勝つことが1番ですし、その力に今日はなれて良かったと思います」  昨年オフに「他球団の評価を聞いてみたい」とFA権を行使した。阪神の残留オファーは、推定で、5年総額17億円プラス出来高と報道されているが、交渉の裏事情に詳しい関係者によると巨人が提示した条件は「阪神さんのプラス10億円だった」という。  巨人の「阪神より10億円多い」オファーを蹴った男は、その残留会見で「監督、コーチ、スタッフのみなさん、裏方のみなさん、チームメートともう一回優勝、日本一を一緒に達成したい気持ちが強かった」と語り、ファン感謝祭で甲子園に揺れた赤いタオルが、決め手になったとも伝えた。  だが、その決断は人一倍責任感の強い大山にとってプレッシャーとなった。 「つなぎ」を命題に掲げていた4番から5番に打順が変わったことも、次の6番が若手の前川だけにさらに責任感につながったのかもしれない。  そのプレッシャーが力みやバットを強く振ることへの意識を過剰にしたのか。明らかに予備動作でバットのヘッドが入り軌道が遠回りしていた。それはデータにも顕著に表れていて、ここまでゴロの数がフライの数を上回っている。これまでの大山にはなかった現象。引っ掛ける打球を増えているのだ。さらに球種別の打率を見るとスライダーの打率が1割台と極端に低迷している。バットが遠回りするがゆえに外角のスライダーへのコンタクト率が下がっていたのである。  その状態にある大山にとって山崎が投じた外角から甘く入るシュート回転のストレートは、最も打てる球種とコースだったのだ。この一発の感触が打率.221と低迷している大山の覚醒に変わる可能性がある。

RONSPO
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