クロアチアから“STEM愛”を込めて。AIから火星探査、暗号化通信まで学べるガジェットDIYキットが楽しい
いまこの記事が表示されているディスプレイの裏側がどうなっているか、気にしたことはあるだろうか?
機械仕掛けが溢れるこの時代、いつも使うデバイスやガジェットの構造を想像する機会はほぼない。CircuitMessはそんなわたしたちの閉ざされた好奇心を、遊び心たっぷりのDIYキットでこじ開けてくる。
最新のテーマがキットに
CircuitMessは、クロアチア発のエドテック企業だ。創業者で最高経営責任者(CEO)のアルベル・ガイシャックが18歳のときに創業して以来、7年にわたってひたすらSTEM(科学・技術・工学・数学)教育用のキットをつくってきた。
8ビットのゲーム機にDJミキサー、スマートウォッチやスマートスピーカー、データの暗号化について学べるミニ通信機器、さらには米航空宇宙局(NASA)の火星探査車のミニ版まで──。そのラインナップは、時流をうまく掴んでいる。「いま世界でいちばん話題のトピックを考える専任チームがいるんだ。最近だったら人工知能(AI)や機械学習だね」と、ガイシャックは言う。
ハードもソフトも自分でつくる
キットのパーツは細かすぎないよう調整され、難易度別になっている。説明書かオンラインのチュートリアルを見ながら適切な場所にパーツを差し込み、はんだごてで固定。やさしいものであれば、数時間でハードウェアのほうは完成する。
あとはソフトウェアだ。ガジェットによって異なるが、コーディングには主に「CircuitBlocks」という独自のインターフェイスを使う。ブロックを入れ替えるだけなので、こちらも直感的だ。ちなみにスマートスピーカーなどはPythonやC++/Arduinoにも対応している。
デリケートなトピックだからこそ、サブスク
CircuitMessの製品には11歳以上向けの「STEM BOX」と、7歳以上を対象とするコーディング不要の「WACKY ROBOTS」のふたつのラインがある。どちらもサブスクリプション形式になっていて、1カ月にひとつキットが届く仕組みだ。
「STEM教育のトピックは、実はとてもデリケートで複雑。だからこそ、子どもたちに継続して興味をもってもらう必要がある」と、ガイシャックは語る。「毎月新しいプロジェクトが送られてくるサブスクリプションモデルは、そのための最善策。毎月、クリスマスの朝のようなワクワク感が生まれるからね」
とはいえ、一部のキットだけに興味がある人は「音楽」「ゲーミング」「宇宙探査」「サイバーパンク」など、テーマや年齢別に用意されたセットを購入することも可能だ。
ときにはキャラクターの力も借りて
もうひとつ、興味をもってもらうための要素としてガイシャックはコラボレーションを挙げる。NASAのほか、過去には「バットマン」の「バットモビール」をつくれるキットも販売した。
ちなみに現在は、SFコメディアニメ「リック・アンド・モーティ」に登場するバター運びロボット「Butter Bot」のDIYキットを届けるべく、Kickstarterでクラウドファンディングを実施中だ。
劇中では自分の存在理由がバターを渡すことだけだと知ってしょんぼりするButter Botだが、CircuitMessのButter BotはデュアルコアCPUを搭載し、AIとカメラで物体を検知して障害物を避けながら自律走行できる。さらには簡単な会話を交わしたり、リマインドをしてもらうこともできる優秀なやつだ。すでに目標額の2倍を超える額が集まっているが、クラウドファンディングは米国時間の2024年12月6日(金)まで続く。