米銀4行の決算好調、トランプ次期政権への期待に沸く-見通しも強気
トランプ次期米大統領が掲げる成長重視政策への期待にウォール街が沸く中、銀行大手はバイデン政権時代を好調な業績で締めくくった。
大手4行が15日発表した2024年業績は、利益がバイデン大統領就任最初の年となる21年に次ぐ過去2番目の高さを記録した。金利の変動がトレーディングおよび融資業務の利益を押し上げた一方、投資銀行の手数料収入は32%増と、23年の低迷から持ち直した。これは始まりに過ぎないと経営陣は予測している。
JPモルガン・チェースは年間利益が米銀史上初めて500億ドル(約7兆8300億円)を突破した。シティグループでは、主要5部門のうち、富裕層向け、米個人向け銀行業務、サービスの3部門で、通年の収入が過去最高となった。
とりわけ10-12月(第4四半期)に収益への大きな追い風が吹いたのは確かだ。米大統領選でトランプ氏が勝利し、同氏の政策を巡る不透明感から市場が大きく変動した。だが、それだけではない。雇用の上振れで米利下げ予想の見直しが進んだことも背景にある。
Four of the largest banks topped $100 billion of profit for the second time
Source: Company filings.
こうした中、ゴールドマン・サックス・グループの株式トレーディング収入は年間で134億ドルに達し、過去最高となった。JPモルガンでは、トレーディング収入が10-12月としては過去最高を記録した。
企業のディールメイキングも活発化。大手行の中で規模の小さいウェルズ・ファーゴでも、投資銀行業務の年間収入が62%伸びた。
16日にはバンク・オブ・アメリカ(BofA)とモルガン・スタンレーが決算を発表する。
トランプ氏の返り咲きを受けて、銀行トップからはホワイトハウスを去るバイデン政権に対して批判的な別れの言葉が聞かれた。ゴールドマンのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)氏はアナリストとの電話会議で「企業経営陣の間ではセンチメントの変化が起きている」と発言。「2025年にかけて追い風が吹いているような感触だ」と続けた。
さらに、今後は規制当局との「建設的な」話し合いが増えると予想。米連邦準備制度理事会(FRB)が金融機関を対象に行うストレステスト(健全性審査)は「理解できない」結果を生み出すとして痛烈に批判した。
JPモルガンのダイモンCEOは、経済成長と銀行の安全性の間で当局はバランスを取る必要があると指摘。そのためには「透明性が高く、公平かつ包括的なアプローチで、厳格なデータ分析に基づきルールを定めること」が必要との考えを示した。
銀行幹部の間では足元、トランプ次期政権下で規制緩和が進むとの期待が高まっている。これに加え、2024年に好調な業績を収めたことを踏まえると、経営陣は株主還元を厚くすることに自信を深めているようだ。
シティグループ株価は同日の取引で急伸。再建計画の要となる収益性の目標を引き下げたが、今後数年で200億ドル規模の自社株買いを行うと発表したことが好感された。
原題:JPMorgan, Goldman, Citi Boast Record Hauls as Biden Era Ends (1)(抜粋)