米金利低下、トランプ氏「過渡期」発言で景気懸念強まる-円買い優勢

10日の米金融市場では、株式が大きく売られる一方、国債への逃避買いが膨らんでいる。米経済は「過渡期にある」とのトランプ大統領の発言を受けて、景気減速が迫っているとの不安が広がり、リスク回避の姿勢が強まった。外国為替市場では円を買う動きが優勢となり、円相場は対ドルで一時146円台後半に上昇した。  

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  米10年債利回りは一時、約10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下。5年債利回りは4%を割り込んだ。米金融政策見通しに最も敏感な2年債利回りも8bp低下の3.92%となった。

  円は対ドルで一時およそ1%高の146円64銭に上昇。長期金利が2008年10月以来の高水準に上昇したことも円の追い風となった。

  ナスダック100指数は一時3%を超える下落となり、過去最高値からは12%値下がりした。

  金利スワップ市場では、年内に合計で約75bpの利下げを織り込んでいる。6月までの25bp利下げは完全には織り込まれていない。5月会合での25bp利下げの確率は40%弱。来週18日-19日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では金利据え置きが広く予想されている。

  トランプ氏は9日、米経済の年内のリセッション(景気後退)入りを予想しているかとの質問に、「私はそのようなことを予測するのは嫌いだ。われわれは非常に大きなことを行っているので過渡期がある」と発言。また7日には、ベッセント財務長官が財政支出が抑制される中で「この先はデトックスの期間になる」と述べていた。

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  こうした発言により、市場が急落した場合には米政府が政策を変更するとの投資家の期待は打ち砕かれた。

  ティー・ロウ・プライスの投資適格級債券チーム責任者兼ポートフォリオマネジャー、スティーブ・ブース氏は、4月に発表される「次の雇用統計に向けて労働市場への圧力が強まっている」とし、5月利下げの観測が高まる可能性があると予想。そうなれば10年債利回りは4%に迫るだろうと述べた。

  「米経済には明らかに財政刺激策が少なくなっている。いずれにしても景気は減速する運命にあったが、連邦レベルで実施されている支出カットや人員削減により、そのペースが速まっている」とブース氏は指摘。また市場ではインフレが鈍化すると予想されており、「1月のインフレ率が今後数カ月から数四半期におけるピークとなるだろう」との見方を示した。

  ペッパーストーンのシニアリサーチストラテジスト、マイケル・ブラウン氏は「『トランプ・プット』との考えは明らかに的外れであり、政権は「長期的利益のための短期的な痛み」という戦略を推し進めている」と指摘。「米貿易政策を筆頭に、不確実性の度合いは依然として極めて高く、市場参加者が引き続きディフェンシブな姿勢を強めていることに驚きはない」と述べた。 

原題:Treasuries Gain as Trump Transition Talk Fuels Recession Angst、Dollar Fluctuates, Norway’s Krone Rallies After CPI: Inside G-10、Nasdaq 100 Slumps 3% as Growth Fears Lift Bonds: Markets Wrap(抜粋)

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