24年経常黒字は過去最大、投資収益増で-トランプ政策で先行き不透明
- 経常収支は29兆2615億円の黒字、比較可能な1985年以降で過去最大
- 第1次所得収支40兆2072億円の黒字、貿易・サービス収支は赤字縮小
モノやサービスを含む海外との総合的な取引を示す日本の経常収支の黒字額が2024年に過去最大となった。円安を背景に海外での投資収益が膨らんだことなどが要因。トランプ米大統領の経済政策が先行きに不透明感をもたらす中、今回の結果は日本経済にとって明るい材料となった。
財務省が10日発表した国際収支状況速報によると、24年の経常収支は29兆2615億円の黒字と、比較可能な1985年以降で過去最大となった。企業が海外から受け取る配当金や利子の収支を示す第1次所得収支は40兆2072億円の黒字だった。貿易・サービス収支は赤字幅が縮小した。
Japan's current account surplus reached a record high
Source: The Finance Ministry
SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストらはリポートで、円安進行や海外金利上昇により、第1次所得収支の黒字が大幅に増加したと指摘。為替相場では24年に円が対ドルで10%余り下落した。
トランプ大統領が関税引き上げをちらつかせ、各国に対し米国への投資拡大を求める中、世界的な投資と貿易の流れは先行き不透明感が強まっている。日本の二大貿易相手国である米国と中国の間で再燃した貿易戦争も日本の輸出に影響を与える可能性が高い。
石破茂首相は7日に行われたトランプ大統領との日米首脳会談で、日本の対米投資額を1兆ドル(約150兆円)に引き上げる意向を表明。一方、トランプ氏は日本が「記録的な量」の米国産液化天然ガス(LNG)の輸入を始めると述べた。両首脳は、日本製鉄によるUSスチール買収計画について、日鉄は買収ではなく、多額の投資を行う可能性があると示唆した。
宮前氏はリポートで、「米中貿易戦争は、日本の輸出には下押し圧力となる一方、米国からのLNG輸入の拡大は、単価が割高なこともあり、日本の輸入には拡大圧力となろう」と指摘。「日本企業による対米投資促進は、第1次所得収支の黒字拡大圧力となりやすい」との見方を示した。
関連記事石破首相が示したトランプ政権との付き合い方-予想以上の成果得る
石破首相、対米投資1兆ドル-「日鉄は買収でなく投資」とトランプ氏
原題:Japan Current Account Surplus Hits Record Amid Trump Uncertainty(抜粋)