利上げペース、先行きの経済・物価・金融情勢次第=内田日銀副総裁
[静岡市 5日 ロイター] - 日銀の内田真一副総裁は5日、静岡県金融経済懇談会後の記者会見で、今後の利上げペースは「先行きの経済・物価・金融情勢次第」と述べた。米国の関税政策や春闘の1次集計の結果など、特定の事象が利上げ判断に大きく影響するのではなく、金融政策決定会合ごとにさまざまな事象を総合的に捉えて経済・物価への影響を分析し、政策を判断していくと強調した。
トランプ米政権は4日、メキシコとカナダからの輸入品に対する25%の新たな関税と、中国に対する追加関税に10%上乗せする措置を発動した。内田副総裁は関税率がそのまま続くかは不透明で「常に不確実な部分は残る」と指摘。「このことだけを取り上げて(政策を決める)ということはない」と述べた。次回の展望リポートを議論する4月の決定会合では「1―4月に起きたいろいろな事象を全部踏まえた上でもう1回見通しを示し、われわれの『政策反応関数』の中で考えていく」と説明した。
米経済の減速懸念や足元の為替円高について「ある特定の状況に対応するわけではない」としたほか、3月の決定会合の直前に発表される春闘の1次集計についても「ほかの全てのこととの総合判断になる」と述べた。
トランプ米大統領が日本の通貨安誘導を批判したことについて、内田副総裁は「(発言の)詳細を承知しているわけではない」としてコメントを控えた。その上で、日銀の金融政策は物価安定目標の実現のためであり、為替を特定のレートに「誘導することを意図したものではない」と話した。
コメ価格や生鮮食品の価格高騰に関連して、内田副総裁は「よく買う品目が消費者の物価予想に及ぼし得る影響は十分注視していかなければならない」と述べた。
日銀が保有する上場投資信託(ETF)の処分については「すぐに行うことは考えていない」とし、今後の扱いは「ある程度時間をかけて検討する必要がある」と話した。
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