【注意】中国人に聞いた今キテるSNS『rednote(小紅書)』に登録したら衝撃の事態に → 私「終わった……」

日本とは事情が違う中国のネット。チャットアプリはLINEではなく微信(WeChat)、動画サイトはYouTubeではなく哔哩哔哩(Bilibili)と、それぞれ独自のプラットフォームが強い。ゆえに、海を超えるネット上でも別の領域となっている。

14億人の別領域。見えにくいけど広いことは間違いない。そこで先日、中国人旅行者と呑んだ時に、SNS事情を聞いてみたところ、小紅書というSNSが流行っているらしい。日本でも『rednote』という名前でダウンロードでき、始めることができるそうなのでやってみた

・中国人のルー氏

話を聞いたのは中国在住のルー氏。向こうの音楽レーベル『Luuv Label』の主催であるルー氏は、中国に日本のアーティストを招聘(しょうへい)するイベントを開催している。で、先日開催された友達のバンド「死んだ僕の彼女」の中国公演が大盛況だったらしく、なんやかんやで飲み会に呼ばれてはじめましてしたわけ。

大学時代に日本留学していて親日であるルー氏は日本語もペラペラ。今、中国国内では日本の音楽が、日本における洋楽みたいなポジションになっているらしい。チャゲアスレベルで売れた人だけでなく今のバンドも掘るくらい、中国において日本音楽シーンが加熱しているというのは全然知らんかった。

・現地民に聞いた中国SNSの印象

で、TikTokをよく見ている私(中澤)は、最初、『抖音』について話を振ってみたんだけど、ルー氏いわく「『抖音』はカルチャーに興味がある人というより普通の人が多いから、流行るのもC-POPとか。日本のミュージシャンがやるには微妙かも……」とのこと。

どうやら、仕事柄各SNSの特性みたいなものを把握しているようだ。念のため、他のSNSについても様子を聞いてみたところ、中国SNSとして最も有名な微博(Weibo)は「最近、雰囲気がXっぽくなってきてるからあまりオススメしない」とのこと。

そんなルー氏がオススメしてきたのが『rednote』。どれかと言うとインスタっぽいSNSなんだそうな。検索したら、確かGoogleのPlayストアにもあった。

・rednoteを始めてみた

レビューを見ると、すでにやってる日本人も大勢いるみたいである。平均評価は4.3と高評価。さっそくダウンロードして起動したところ……

英語の注意事項が表示された。Googleレンズで翻訳してみると、ここにはデバイス情報、IPアドレスや連絡先の許可を申請しますよってことが書かれている。まあ今日びのSNSって感じでは、特に不自然な点は見当たらない。

同意すると、生年月日の入力に遷移する。アプリが12歳以上対象だからだろう。続いて、興味のあるジャンルを選択を終えると、アプリのタイムラインが表示された。見るだけなら、個人情報の入力は必要ないようだ

ただ、私は投稿がしたい。中国のネットで売れたいのだ。そこで画面下にあるタブの「+」ボタンを押したところ、ログイン画面が表示された。どうやら、投稿はアカウント登録が必要な模様。

・登録にあたっての注意点

さて、ここで気になるのはどこまで情報を入力するかだと思う。登録した上で、これを先に書いておくと、最小限は電話番号のみだ

ログイン画面には「電話番号でログイン」と「他のログイン方法」がある。そこで他のログイン方法を確認してみたところ、FacebookかGoogleとの連携であった。

そこで電話番号でログインを選ぶと、電話番号入力画面となる。ここで注意すべき点は頭の国番号が中国の「086」になっていること。国番号の項目をクリックすると、日本も選択できるようになっているので、まずはこれを変えてから電話番号を入力しよう。

電話番号を入力して絵合わせの認証をクリアすると、SMSに認証コードが送られてくるのでログイン画面の電話番号下に入力。規約に同意した上でログインボタンを押すと、マイページに遷移することができる。

・投稿してみた

マイページはアイコンが設定できたり、自己紹介が編集できたり、SNSをやったことがある人ならいちいち言葉で説明されるまでもない仕様。ルー氏によると、「今はAI翻訳があるから日本語でもOK」とのことなので、適当にプロフィールを書いて速攻ノートを投稿してみた。

可能な投稿は動画、画像、キャプチャー、文字のみの4つ。動画、画像はアルバムからの選択で、キャプチャーはカメラにアクセスして撮影するスタイル、文字のみは初期Twitterみたいな使い方だ。

私は動画を投稿したいので、「アルバムから選択」を選び、表示されたアルバムの動画を選択。すると、動画の編集画面に遷移する。長さをカットしたりフィルターをかけたり文字を入れたりのちょっとした編集が可能なようだ。確かにこの画面はインスタのリール動画に似ている。

でも、動画に挿入できる定型文は全部中国語。フォントデザインにも今の中国のテンションが垣間見えるのがちょっと良い。

動画を作成し終わると、タイトル入力画面。タイトルって書いてるけど、これはコメントみたいなもので、タグとかもつけられる。ただし、ルー氏によるとタグはそこまで意味がないらしい

・再生数を上げるには

どちらかと言うと、繰り返し投稿することでアルゴリズムが上位になって表示されることの方が大きいのだとか。まあ、ルー氏も別にrednoteのインフルエンサーってわけではないから、一般に「そう言われてる」ってくらいの話なんだろう。そこで私はタグをつけて投稿してみたけど……

確かに10再生しか回らなかった。もちろん、いいねもつかないし、フォロワーも増えない。

これって広がる芽はあるんだろうか? そこで翌日も別動画を投稿してみたところ、同じくいいねもフォロワーも増えてないけど、今度は15回回った。う~ん、差は少ないけれど、確かにルー氏が言うrednoteのアルゴリズムを感じなくもないぞ

・投稿できる動画の長さ検証

ここら辺の投稿の感触は、TikTokともインスタとも違った。強いて言うなら「BIGO LIVE」とかの方が近いかもしれない。ちなみに、最初の動画は1分30秒、2つ目の動画は3分で、どちらもそのままアップできたので結構長めもいけるっぽい

次は6分で調べてみよう。3分の時点でSNSとしては十分だけど、6分の動画となると作るのも結構大変になるから、ショート動画とは別の使い方が考えられるかもしれない。そこで6分の動画を作成してアプリを開いたところ、謎のシステムメッセージが届いていることに気づいた。なんだこれ?

・嘘だろ

開いてみたところ、ガチの中国語すぎて読めない。漢字を頼りに意味を推察できる範疇を超えてるメッセージだ。Googleレンズで翻訳したところ「アカウントリスクリマインダー」と書かれている。

アカウントリスクリマインダーって何じゃい。翻訳しても意味が分からなかった。何コレ怖い。その怖さに確認の必要性を感じたので、「詳細を見る」をクリックして表示された詳細を翻訳してみると……

アカバンのお知らせだった。開始2日ァァァアアアッ!!

1つ思い当たる点と言えば、動画を投稿する際、別端末にSIMを入れ替えてログインしたこと。前端末に入ってた過去動画を使ったため、端末間の動画の移動が面倒くさくてそのままアップロードしたんだけど、ひょっとしたら2端末でのログインが不審に映ったのかもしれない。さて置き、幸いにも詳細画面の下には「自助解除」というボタンがある

・衝撃

怪しいことをやってないので解除の申請をしたらワンチャンあるのではないか。そう思って自助解除ボタンを押してみたところ……ホゲェェェエエエ!

外国人永住許可証明書を求められた

終わった……。というわけで、日本からrednoteをやろうという人はSIMを入れ替えて別端末でログインするのは注意した方が良いかもしれない。まあ、厳密には原因は分からないし、調査することもできないのだが。

ブルーオーシャンに漕ぎ出すつもりが2日で夢が潰えた今回の事件。世の中、自分ではどうにもできないことは確実に存在する。

時にそれは理不尽に起こり、圧倒的な無慈悲さで全てを巻き込む。そんな大きなうねりの前に私は無力だった。願わくば世界が平和でありますように。部屋を出ると降り注ぐ眩しい太陽とセミの声。少し大人になった気がした夏の日だった。

執筆:中澤星児 Photo:Rocketnews24.

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