JPモルガン、40億ドルの金地金を米国に-関税懸念で輸送ラッシュ
世界最大の金塊ディーラーである米銀JPモルガン・チェースは2月に、40億ドル(約6200億円)余りの金地金を米国に輸送する。ニューヨークでの先物契約の現物受け渡しのためだ。金価格の高騰と輸入関税の脅威により、世界中で米国への金塊輸送ラッシュが起きている。
1月30日には複数の金融機関が、ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限の現物受け渡しを通知した。受け渡し通知の総量は300万トロイオンスと、1994年までさかのぼれる取引所のデータで史上2番目の規模。COMEXを運営するCMEグループからの最新通知によると、金ディーラーは1月31日、さらに110万トロイオンスを2月4日に受け渡す意向を伝えた。
トランプ氏が米大統領に選出された後、輸入品に間もなく関税が課されるのではないかという懸念から、COMEXの金先物価格がロンドン市場の現物価格を上回る勢いで上昇。現物価格は先週、過去最高値を付けたが、COMEXのプレミアム拡大により、主要取引拠点間で素早く貴金属を輸送できる一部の銀行にとっては、有利な裁定取引の機会が生まれた。
毎日数百万オンスの金がCOMEXで取引されているが、通常はそのごく一部だけが現物受け渡しとなり、ほとんどのポジションは期限切れになる前にロールオーバーまたは清算される。
しかし米大統領選挙以来、大量の金現物が搬入され、COMEXの保管庫にある在庫は1400万オンス、約390億ドル相当に膨れ上がった。
JPMorgan accounted for half of the delivery notices
Source: CME
JPモルガンや他の銀行が、裁定機会を利用するために現物の金地金を引き渡すのか、あるいは単に既存のショートポジションを解消するために引き渡しを利用するのかは不明。JPモルガンとCMEグループはコメントを控えた。
JPモルガンは、2月3日が期限の100オンスの金先物契約について、148万5000オンスの金地金の受け渡し通知を出した。これは、受け渡し予定総量のほぼ半分を占める。残りの大半はドイツ銀行、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス・グループが占めている。
ドイツ銀、モルガン・スタンレー、ゴールドマンはコメントを控えた。
原題:JPMorgan Plans $4 Billion US Gold Delivery Amid Tariff Fears(抜粋)