夫に薬盛られ数十人にレイプされた女性、唯一控訴した男を一喝「自分の行動に責任を持ちなさい」(AFPBB News)|dメニューニュース
フランス南部ニームの裁判所で、マザンレイプ事件の控訴審に出廷するジゼル・ペリコさん(2025年10月7日撮影)。(c)Christophe Simon/AFP
【AFP=時事】フランスのドミニク・ペリコ受刑者が見知らぬ男数十人を募って当時妻だったジゼル・ペリコさんをレイプさせた事件の一審で有罪判決を受けた51人のうち唯一控訴した男の控訴審で8日、ジゼルさんは再び証言台に立ち、動画などの証拠があるにもかかわらず依然として起訴事実を否認している男に対し、「自分の行動に責任を持ちなさい」と一喝した。
フランス史上最悪の性犯罪者の一人、ドミニク受刑者は10年以上にわたり、ジゼルさんの意識を鎮静剤で失わせ、自ら性的暴行を加えたり、インターネットで募った男たちに性的虐待させたりしていた。2024年12月に結審した一審では、ドミニク受刑者を含む51人の男が有罪判決を受けた。ドミニク受刑者は最高刑の拘禁20年を言い渡されたが控訴していない。
ジゼルさんは匿名の権利を放棄し、裁判を通して威厳を保ち毅然(きぜん)とした態度を貫いたことで、フェミニストの英雄となり、男性による性暴力と闘う女性たちの象徴となった。
現在、有罪判決を受けた51人の中で唯一、拘禁9年を言い渡されたフサメティン・ドガン被告だけが一審判決を不服として控訴。自分もドミニク被告の被害者だとして無実を主張している。
だが、性暴力において恥ずべきは被害者ではなく加害者だと主張してきたジゼルさんは南仏ニームで6日に始まった公判の3日目、ドガン被告の主張をきっぱりと否定。
「あなたは断じてペリコ氏の被害者ではない。自分の行動に責任を持ちなさい。あなたを恥ずかしく思います!」「唯一の被害者は私です」と述べた。
さらに、「私があなたに同意を与えたのはいつですか?」「決して同意したことはありません」と続けた。
公判が始まって以来、出廷するたびに拍手喝采を浴びてきたジゼルさんは、二度と法廷に戻りたくないと語った。
「私は被害を受けたが、この破滅から立ち直らなければなりません」「回復は順調です」と述べた。
■「はめられた」
ドガン被告は一審でレイプの罪で拘禁9年の判決を受けたが、控訴審では最高で20年の拘禁刑を科される可能性がある。
ドガン被告は自身は「レイプ犯」ではないとして、2019年6月28日の行為については奔放なカップルのプレイに参加していると思っていたと主張している。
捜査官とドミニク受刑者は、ドガン被告の主張を徹底的に反証した。
ドガン被告が南部の町マザンにあるペリコ夫婦の自宅を訪れた夜の写真107枚と動画14本が、ドミニク受刑者のハードディスクから見つかっている。
8日、ドガン被告が意識のないジゼルさんをレイプ・性的虐待する映像の一部が法廷で上映された。
動画という証拠があるにもかかわらず、ドガン被告は「誰もレイプしていない」と主張。ドミニク受刑者に「はめられた」と主張し、責任転嫁を試みた。
「私はやめたかった」「彼(ドミニク受刑者)が不安を取り除いてくれたので続けた」と述べ、「操っていたのは彼であって、私ではない」と付け加えた。
7日、ドミニク受刑者は法廷で、「私は誰にも強制したことはない。彼らは私を必要としていなかった」として、ドガン被告は最初から「妻が寝ている間に性的虐待してくれる人」を探していたことを知っていたと証言した。
弁護人は、ドガン被告が「はめられたことに気づくまでには時間がかかった」「他の加害者は2回、3回、最大6回も(ペリコ夫婦の自宅に)戻ってきたのに対し、彼が一度も戻らなかったという事実を認めなければならない」と主張した。 【翻訳編集】AFPBB News