中国主席、24年GDP成長率目標の達成示唆-5%前後と予想

中国の習近平国家主席は、同国の2024年の国内総生産(GDP)成長率が5%前後になるとの見通しを示した。国営新華社通信が31日伝えた。政府が設定した5%前後の通年成長率目標の達成を示唆した形だ。

  新華社によると、習主席は国政助言機関の人民政治協商会議(政協)が開いた新年行事での演説で、中国経済は「全般的に安定しており、着実に進展している」と評価。主要領域のリスクは有効に対処され、雇用と物価は安定を保っていると述べた。

  中国経済の正確なデータは1月まで明らかにならない。9月下旬以降、当局は相次いで景気支援策を打ち出し、24年の成長見通しは改善していた。エコノミストらは通年の成長率が4.8%になると予想している。

  また、習氏は持続的な景気回復に向けて積極的なマクロ経済政策を採用するようあらためて呼びかけ、景気支援策が25年も続くと示唆した。

Economy rebounded after slowdown in 3Q thanks to policy stimulus

Source: National Bureau of Statistics

  中国の最高指導部は12月、より強力な刺激策を講じることに前向きな意向を示しており、25年の成長率目標も24年とほぼ同程度に設定される公算が大きい。強力な刺激策は、米国のトランプ政権発足後に見込まれる関税の引き上げによる影響を緩和することにもなる。

  成長率の公式目標は、全国人民代表大会(全人代)が開かれる3月にならないと明らかにされない。ロイター通信はこれまでに、中国の指導部は25年の成長目標を約5%とする計画だと報じた。ブルームバーグが調査したエコノミストらは、同年の成長率を4.5%と予測している。

  12月の複数の主要会議で当局者らは、25年に成長を促進するため金融緩和や、公的借り入れと支出の積極的な活用を約束した。こうした直接的な呼び掛けは異例で、信頼感を押し上げる狙いがある。金融政策姿勢を14年ぶりに「適度な緩和」へと変更することも承認した。

  それでも、経済は依然として内需の低迷に圧迫されている。今年の成長をけん引した輸出の見通しも不透明だ。デフレは来年も続きそうで、不動産市場の不況も続いている。

金融緩和

  中国で次に緩和策を打ち出すのは、中国人民銀行(中央銀行)かもしれない。人民銀は、24年末までに発表の可能性があるとみられていた市中銀行の預金準備率引き下げを、まだ行っていない。

  同行の潘功勝総裁は10月、流動性の状況に応じて、年内に預金準備率を0.25-0.5ポイント引き下げる可能性があると述べていた。12月の主要経済会合で最高指導部は、「適切な時期」に準備率を引き下げると表明したが、詳細は明らかにしなかった。

  預金準備率引き下げのような注目を集める緩和措置は人民元の下落圧力を強めるため、人民銀は元相場安定の必要性を考慮した公算が大きい。12月に入り人民元は、1年ぶりの安値に下落した。

  米金融当局が急激な利下げにより慎重になったとみられることも、人民銀の預金準備率引き下げを思いとどまらせた可能性があると、中国のシンクタンク、国家金融発展実験室の特別上級研究員、ブルース・パン氏は指摘。準備率引き下げがあり得る次の時期は、1月20日のトランプ政権発足後だろうと、同氏は述べた。

  「人民銀は外的な不透明性の高まりに対処するため、政策余地を維持している。過剰な流動性を注入すれば、人民元相場や国債利回りの管理が難しくなる可能性もある」とパン氏は語った。

原題:Xi Says China’s 2024 GDP Growth Set to Hit Target of Around 5%(抜粋)

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